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住宅トラブル、ズバリ解決!

大谷昭二 大谷 昭二(おおたに しょうじ)
日本住宅性能検査協会によって設立されたADR(裁判外紛争解決)センター、「日本不動産仲裁機構」を運営する大谷氏が、不動産取引・施工・敷金問題など、住宅にまつわるトラブルの実例を紹介し、その解決策を明快に解説いたします。
第8回 建物建築業者の地盤調査義務
公開日 2009/8/31
建物の地盤造成に問題があった場合に、造成作業をしていない建物建築請負業者に対しても「地盤調査義務」や「地盤に対応した基礎を措置する義務」を認定した判例。
 
判決内容
〜福岡地裁平成11年10月20日判決〜

【建物プロフィール】
造成された土地上〔造成は別会社〕の木造軸組み2階建て瓦葺き住宅〔住宅金融公庫利用〕。
新築引渡し後3年弱で、建物ベタ基礎の底板中心部に南北に走る亀裂を発見する。
沈下の状況は建物北辺中心部付近を基準として、南側角0.45cm、西側角5.6cm、北側角2.6cmそれぞれ沈下。

【入手経路】
請負契約(請負代金1432万9591円)

【相手方】
工事請負人(元請)

【法律構成】
(主体的)不法行為
(予備的)瑕疵担保(修補に代わる損害賠償)

【期間制限】
争点とならず。

【判決の結論】
ほぼ全面的に認容。立証のない移転雑費部分のみ棄却。
請求額⇒1217万4131円
認容額⇒1207万4131円

【認定された欠陥】
スウェーデン式サウンディング試験の結果によると、N値1以下の自沈層が本件土地東側の浅い部分、西側擁壁の深い部分に存在した。また、N値3以下の自沈層が盛土の多い西側部分で1〜1.5mの厚さで存在していた。
本件建物にはこれらの地盤状況に対応した基礎が施工されていない。
なお、公庫仕様3.1.1参照

【コメント】
建物の地盤造成に問題があった場合に、造成作業をしていない建物建築請負業者に対しても「地盤調査義務」や「地盤に対応した基礎を措置する義務」を認定した判例。
また損害額を算定する場合の考え方も判示している。

本件で、相手方は、地盤沈下の予見可能性を争い、また、「建物」建築請負契約だから、地盤の沈下は「建物」の瑕疵にあたらない、として争った。

本件判決は、この建築業者に対し、業者は安全性を確保した建物を建築する義務を負うから、建物基礎を地盤の沈下または変形に対して構造上安全なものとする義務を負うと判示した。
また、その前提として、建物を建築する土地の地盤の強度についての調査義務や、調査の結果強度が不十分であれば、転圧や支持杭の施工を行う義務を認めている。
予見可能性の点については、単に造成業者の言を信じただけでは建築業者は免責されない旨、指摘している。

また、相手方の「取り壊し立替は、瑕疵補修が不能(な場合である)と解すべきであり、その場合は損害賠償額は交換価値の下落額とすべき」との主張に対して、本件判決は、損害賠償額の算定にあたり「現状では、建物としての価値を有するとは到底考えられず、転売にも耐ええるような商品価値を備えるためには基礎の割れを補修し、今後の沈下が防止されるような補修工事が必要である」との判断を示し、「補修工事費用が不法行為前の本件建物価格を上回るなどして不当に高額でない限り、本件建物において右補修工事相当額でない限り、本件建物において右補修工事相当額の価値の低下があるものと認めるのが相当である」と判示した。

本件の認定に当たって裁判官自身が体験した「室内で立つと西側への傾きを感じ、歩行すると、軽い乗り物酔いのような違和感を感じる状態」という認識が、判決の結論につながっていると思われる。
 
用語解説

●スウェーデン式サウンディング試験
戸建住宅向けに普及している簡易地盤調査の手法の1つ。省略してSS試験ともいう。
方法は、ロッド(鉄管)の先端にスクリューポイントと呼ばれる円錐形の錐(きり)をつけて、地面に突き立て、段階的に100kgまでの鉄の重りを載せた時の沈み具合を測定する。
ロッドが下がらない場合は、ハンドルをつけて回転させながら貫入させ、その回転数(Nsw)を25cmごとに最大10mまで記録する。
特に浅い部分で精度の高いデータがとれる。

●地盤調査
地層の配列・分布、土の密度・固さなど、地盤の物理的・力学的・化学的な性質、地下水の状態に関して調査すること。
調査の方法には、既存の文献・試料や地質図などを用いたり、現地を視察するなどして行う予備調査と、ボーリングや貫入試験などによって、建物の設計・施工に必要な個別の地盤情報を得るための本調査がある。
住宅をはじめ建物を建築する際には不可欠な手続き。地盤調査によって適切な基礎構造などを決める。

バックナンバー
第1回 瑕疵担保責任 契約解除は可能か?
第2回 シックハウス 契約解除は可能か?
第3回 欠陥住宅 損害賠償額はいくら?
第4回 瑕疵担保責任が認められる期間は?
第5回 居住者に配慮しない設計・施工への瑕疵担保責任
第6回 屋根裏物置を階とみるか否か
第7回 標準的技術基準を守らなくても違法とはいえない!?
第8回 建物建築業者の地盤調査義務
第9回 えっ!コウモリが? 思わぬ住宅トラブルに
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大谷 昭二 大谷 昭二(おおたに しょうじ)
■プロフィール
NPO法人日本住宅性能検査協会の理事長。弁護士・一級建築士等30名の陣容でADRセンター「日本不動産仲裁機構」を運営。現在、週刊紙「週刊ビル経営」で【仲裁事案】を連載中。又、仲裁ADR法学会理事、ガーソン・レーマン・グループのカウンシルメンバーでもあります。
日本住宅性能検査協会のホームページはこちら

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