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住宅トラブル、ズバリ解決!

大谷昭二 大谷 昭二(おおたに しょうじ)
日本住宅性能検査協会によって設立されたADR(裁判外紛争解決)センター、「日本不動産仲裁機構」を運営する大谷氏が、不動産取引・施工・敷金問題など、住宅にまつわるトラブルの実例を紹介し、その解決策を明快に解説いたします。
第9回 えっ!コウモリが? 思わぬ住宅トラブルに
公開日 2009/9/29
中古住宅の天井裏にコウモリが棲みつき大量の糞により汚染されていたことは、建物の「隠れたる瑕疵」にあたる 。
 
判決内容
〜神戸地裁平成11年7月30日判決〜

【建物プロフィール】
築後8年の木造スレート葺き2階建て中古住宅。
平成10年に前所有者(個人)から、売主側・買主側2社の仲介会社を経て原告が購入した。
購入後、天井裏部分にコウモリが棲みついており、大量に糞が蓄積して天井ボードや断熱材に多くのシミがあることが発見された。

【入手経路】
中古住宅売買(売買代金/土地代込み3380万円)

【相手方】
売主
仲介業者(売主側、買主側)

【法律構成】
売主⇒不法行為、瑕疵担保(損害賠償)、不完全履行
売主側仲介者⇒不法行為
買主側仲介者⇒債務不履行

【期間制限】
争点とならず。

【判決の結論】
仲介業者に対する請求は、棄却。
売主に対する瑕疵担保損害賠償を一部容認。
請求額⇒358万4000円
容認額⇒128万4000円

【認定された欠陥】
中古住宅の天井裏にコウモリが棲みつき大量の糞により汚染されていたことは、建物の 「隠れたる瑕疵」にあたる。

【コメント】
瑕疵担保責任の「隠れたる瑕疵」につき、家屋内に棲みついたの生物【及びその糞尿】の影響を「瑕疵」と認めた判例。

ただ、仲介業者に対する請求については、善良なる管理者の注意義務をもって目的不動産の調査を行う義務までは認めながらも、「コウモリ等が居住の妨げになるほど棲息しているかどうか天井裏等まで確認調査すべき義務までは、それを疑うべき特段の事情がない限り負わない」として、棄却している。

売主(個人)に対する請求について、(1)不完全履行の主張は「一般人にとって健全な居住に適する性状」を備えた状態で引き渡す債務を特定物ドグマを理由に排斥し認めなかった。
しかし、(2)瑕疵担保の主張は「巣くった生物の特性や棲息する個体数によっては、一般人の立場からしても、通常甘受すべき期限を超え、そのグレードや価格に応じた快適さを欠き、そこでの起居自体に支障を来たすこともあるから、そのような場合には、かかる生物の棲息自体が建物としての瑕疵となりうる」と判断した。

損害の範囲としては、売主にはコウモリの駆除や補修に要する費用を予見できたと認定の上、コウモリの糞尿で汚損した天井ボード・断熱材等の取替え費用、コウモリの進入した通風口の閉鎖及び新たな通風口設置について工事費用の実額を認め、慰謝料は認めなかった。

なお、慰謝料について、コウモリも駆除され汚損部分の補修もされているのであるから以上のほか、なお金銭をもつて償うべき精神的苦痛があるとは認めがたいとして棄却しているが、紛争の実態を反映していない認定である。なお、弁護士費用も15万円と定額である。

コウモリは「全く害獣とまではいえないが」一般的に不気味なイメージで見られている、との裁判官の個人的趣味を窺い知ることができて興味深いといえる。
 
用語解説

●隠れたる瑕疵
「瑕疵」とは「きず」「不具合」「欠陥」という意味である。
「隠れたる瑕疵」とは、特定物(新築住宅・中古住宅・土地など)の売買契約を締結した時点において、買主が知らなかった瑕疵であり、かつ買主が通常要求されるような注意力を働かせたにもかかわらず発見できなかった瑕疵のことである。
例えば中古住宅の売買において、屋根の一部に欠陥があったため、引渡し後に雨漏りが発生したとする。
この場合、屋根の欠陥が「瑕疵」に該当する。
そして買主が売買契約当時にこの欠陥があることを知らず、かつ買主が通常要求されるような注意力を働かせても、この欠陥を発見することができなかったであろう場合には、この欠陥は「隠れたる瑕疵」に該当すると言える。
民法(第570条)では、特定物の売買契約において、その特定物に「隠れたる瑕疵」があったとき、売主は買主に対して「瑕疵担保責任」」を負うものと規定している。
このため、隠れたる瑕疵があるとき、買主は売主に対して原則的に、損害賠償などの請求をすることができる(民法第570条)。

バックナンバー
第1回 瑕疵担保責任 契約解除は可能か?
第2回 シックハウス 契約解除は可能か?
第3回 欠陥住宅 損害賠償額はいくら?
第4回 瑕疵担保責任が認められる期間は?
第5回 居住者に配慮しない設計・施工への瑕疵担保責任
第6回 屋根裏物置を階とみるか否か
第7回 標準的技術基準を守らなくても違法とはいえない!?
第8回 建物建築業者の地盤調査義務
第9回 えっ!コウモリが? 思わぬ住宅トラブルに
第10回 解体再築の必要あり!
第11回 南向きだと思ってたのに!?
第12回 大量のアリは瑕疵になる?
第13回 輸入住宅の欠陥はどうなる?

大谷 昭二 大谷 昭二(おおたに しょうじ)
■プロフィール
NPO法人日本住宅性能検査協会の理事長。弁護士・一級建築士等30名の陣容でADRセンター「日本不動産仲裁機構」を運営。現在、週刊紙「週刊ビル経営」で【仲裁事案】を連載中。又、仲裁ADR法学会理事、ガーソン・レーマン・グループのカウンシルメンバーでもあります。
日本住宅性能検査協会のホームページはこちら

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