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住宅トラブル、ズバリ解決!

大谷昭二 大谷 昭二(おおたに しょうじ)
日本住宅性能検査協会によって設立されたADR(裁判外紛争解決)センター、「日本不動産仲裁機構」を運営する大谷氏が、不動産取引・施工・敷金問題など、住宅にまつわるトラブルの実例を紹介し、その解決策を明快に解説いたします。
第11回 南向きだと思ってたのに!?
公開日 2010/3/1
マンション売買にあたり、分譲業者の説明義務を明らかにし、方位について正確な説明をする義務があることを指摘した珍しい判決である。
 
判決内容
〜京都地裁平成12年3月24日判決〜

【建物プロフィール】
鉄筋コンクリート造陸屋根鋼版葺き地下1階付5階建マンション。
完成前に販売する形態【青田売り】をとっている。
マンションのパンフレット等では「全戸南面・採光のよいリビングダイニング」など南向きと称したにもかかわらず、現実には真南から62度11分 西方向に向いている。
13戸の購入者が、不法行為等を理由に価格減少損害金、日照減少分損外金、光熱増加分損害金、慰謝料および弁護士費用を請求した。

【入手経路】
売買契約【青田売り/売買代金2760万円〜2970万円】

【相手方】
売主
なお、販売代理は売主関連会社

【法律構成】
債務不履行もしくは不法行為

【期間制限】
争点とならず。

【判決の結論】
請求額⇒合計1億0780万円【1戸当たり770万円】
認容額⇒合計1755万円【一戸当たり135万円】

【認定された欠陥】
売買契約に付随する信義則上の義務違反
なお、原告らは,詐欺,宅建業法31条【信義誠実義務】、同32条【誇大広告等の禁止】に基づき不法行為、説明義務違反を理由に債務不履行を主張していた。

【コメント】
本件マンションは、販売パンフレットには【建物プロフィール】記載の文言およびバルコニー側が南立面図として表示された図面が配されていた。
また、新聞広告や折込チラシには、おおきく「全戸南向き」と記載され、チラシの敷地配置図には方位を示すNマークを入れて本件マンションが真南から約40度西方向に向いていることを示していた。

本判決は、売買当事者の専門知識の格差、マンション購入は高額な売買であるとの要素から、分譲業者に対し買主の意思決定に対し重要な意義を持つ事実について不正確な表示・説明を行わない信義則上の付随義務を認め、「マンションの向き」については快適な生活が送れるかどうか左右されるので重要な意義をもつ事項と判断した(青田売りの場合はなおさらであるとも判断している)。

そして、上記のような事実関係の下では、分譲業者に不正確な表示・説明をしないように注意すべき義務に違反したと判断している(尚、分譲業者からは販売センター備え付け建築設計図書に正確な方位が記載されていると主張されているが、本判決は購入者に対しそこまで精査することは要求できないと判示して排斥している)。

損害額については、光熱費増加・日照減少による損害は、証拠上具体的な損害額が認められないとして、また、価格減少損害は転売目的ではないとして、それぞれ認められなかった。
ただ、慰謝料を1戸当たり120万円【請求は300万円】、弁護士費用1戸当たり15万円【請求は70万円】認めている。
マンション売買にあたり、分譲業者の説明義務を明らかにし、方位について正確な説明をする義務があることを指摘した珍しい判決である。
 
用語解説

●青田売り
青田売りとは、造成前の宅地や未完成の建物を売買すること。

語源は、稲の収穫前に、その田の収穫量を見越して先売りすることからきている。青田売りは、売主の不動産業者が、早期の資金回収を目的として行うことが多いため、事前の説明の内容と完成したものが食い違うことでトラブルになりやすい。そのため、宅建業法では、開発許可や建築確認等、工事に必要な行政上の許可を受けた後でなければ、広告や契約を行うことを禁じたり、工事完了時における形状・構造等の書面による説明や、手付金等の保全などの規制がある。

<参考文献>
判例タイムズ社
民事法研究会

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大谷 昭二 大谷 昭二(おおたに しょうじ)
■プロフィール
NPO法人日本住宅性能検査協会の理事長。弁護士・一級建築士等30名の陣容でADRセンター「日本不動産仲裁機構」を運営。現在、週刊紙「週刊ビル経営」で【仲裁事案】を連載中。又、仲裁ADR法学会理事、ガーソン・レーマン・グループのカウンシルメンバーでもあります。
日本住宅性能検査協会のホームページはこちら

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