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住宅トラブル、ズバリ解決!

大谷昭二 大谷 昭二(おおたに しょうじ)
日本住宅性能検査協会によって設立されたADR(裁判外紛争解決)センター、「日本不動産仲裁機構」を運営する大谷氏が、不動産取引・施工・敷金問題など、住宅にまつわるトラブルの実例を紹介し、その解決策を明快に解説いたします。
第12回 大量のアリは瑕疵になる?
公開日 2010/4/13
中古マンション購入の際、室内に大量のアリが存在していたことはマンションの「隠れたる瑕疵」にあたる。
 
判決内容
〜神戸地裁平成11年4月23日判決〜

【建物プロフィール】
平成8年6月売買の7階建て中古マンション最上階7階の1室(前所有者夫婦は昭和54年に購入にして居住後、平成7年5月から空き室にしていた)。

【入手経路】
中古マンション売買【売買代金3600万円】

【相手方】
売主(個人の夫婦)

【法律構成】
瑕疵担保(解除)

【期間制限】
瑕疵担保期間につき引渡しから2カ月、しかも共用部分に起因する瑕疵は担保しない、との約定があると争われた。

【判決の結論】
請求をほぼ認容
請求額⇒総額5615万7580円
認容額⇒総額4687万9100円

【認定された欠陥】
中古マンション購入の際、室内に大量のアリが存在していたことはマンションの「隠れたる瑕疵」にあたる。

【コメント】
瑕疵担保判断における「瑕疵」の事例。問題となったアリはイエヒメアリという種類のアリで、いわゆるシロアリではない。
本件判決は、被告夫婦からの売買契約当時はアリは存在しなかったとの主張を、他の居住者の陳述書、アリの特徴・習性から排斥した。
また、食品の保管、食器の再度洗浄、衣服の被害、就寝中に刺される等の日常生活上の困惑の点や、当該アリの強い繁殖力や営巣の習性から駆除が不可能である点を認定し、「快適な居住を達成することが不可能な状態」として瑕疵担保規定による解除を肯定した。

損害額の認定は、本件瑕疵と因果関係があるものに限定され、また、信頼利益の賠償であることを理由に弁護士費用は認められていない。
なお、本判決は期間制限に関して、契約書上に不動文字で記載された、瑕疵担保請求は引渡し後2カ月にすべしという約定は、法的関係を早期に安定させる趣旨と解し、「瑕疵を発見してから」2カ月の限度でしか有効性を認めていない。
瑕疵担保を根拠として請求をする際に、実務上参考となる判例である。

余談だが、イエヒメアリの特性につき、判決は「通常のアリと異なり、繁殖力、生命力が著しく強力で廊下や壁及びセントラルヒーティングの管等を伝わって建物内の各室に入り込み、アリ類の中でも最も重要な家屋害虫とされており、完全に駆除することは不可能である」とも認定しており、マンションといえどもアリの被害につき安心はできない(さらに、原告居室には「女王アリ」が営巣していたらしい)。
 
用語解説

●不動文字
特約が不動文字で前もって印刷されていて当事者に十分に説明されないまま契約書に入れられたものであるから無効であると考えられる場合(例文解釈)

【例文解釈】
契約書や約款などにおいて記載されている定型的な文言などによる約定について、その規定を文言とおりに適用すると不当な結果を招来する場合に、その定型的な文言は「単なる例文」であるとした取扱をする解釈。簡単にいえば、契約書に記載はあるが当事者の合意はなされていないから法的な効力がないとするもの。

賃貸借契約書や身元保証書、請負約款などでは、予め当事者の一方が用意した契約書や、市販されている定型書式による契約書などを使用することが多いが、そのような契約書などでは契約書などを用意してきた当事者にとって一方的に有利となるような文言があったり、あるいは定型的な書式を用いているために双方にとって不利益となる規定が含まれていることがある。

にもかかわらず、契約書の文言をそのまま適用とすると、明らかに不当な扱いを受けることとなったり、双方共が意図していない規制を受けることがある(例えば、当事者双方が北海道の住人であるのに、管轄の合意で「東京地方裁判所を排他的な専属合意管轄とする」などとなっていると、わざわざ東京に出なければ裁判も起こせないなど)。

このような結果の不当性を回避するために、問題となる約定については、当事者間で合意がされていものではないのに定型的に盛り込まれてしまっているだけの例文に過ぎないとして効力を否定するのが例文解釈。賃貸借契約における原状回復義務をめぐっても、一方的に相手方に不利となる契約条項を例文とした事例がある。

<参考文献>
判例タイムズ社
民事法研究会

バックナンバー
第1回 瑕疵担保責任 契約解除は可能か?
第2回 シックハウス 契約解除は可能か?
第3回 欠陥住宅 損害賠償額はいくら?
第4回 瑕疵担保責任が認められる期間は?
第5回 居住者に配慮しない設計・施工への瑕疵担保責任
第6回 屋根裏物置を階とみるか否か
第7回 標準的技術基準を守らなくても違法とはいえない!?
第8回 建物建築業者の地盤調査義務
第9回 えっ!コウモリが? 思わぬ住宅トラブルに
第10回 解体再築の必要あり!
第11回 南向きだと思ってたのに!?
第12回 大量のアリは瑕疵になる?
第13回 輸入住宅の欠陥はどうなる?

大谷 昭二 大谷 昭二(おおたに しょうじ)
■プロフィール
NPO法人日本住宅性能検査協会の理事長。弁護士・一級建築士等30名の陣容でADRセンター「日本不動産仲裁機構」を運営。現在、週刊紙「週刊ビル経営」で【仲裁事案】を連載中。又、仲裁ADR法学会理事、ガーソン・レーマン・グループのカウンシルメンバーでもあります。
日本住宅性能検査協会のホームページはこちら

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