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不動産投資の楽待

誰にでもわかる不動産市況

田村 修 田村 修(たむら おさむ)
株式会社不動産経済研究所、日刊不動産経済通信編集長の田村氏が、最近の不動産業界の現状や今後の見通しなどを、一般の方々にも分かりやすくお伝えします。
第1回 なぜ、不動産は不況に陥ったか?
株式会社不動産経済研究所の田村と申します。
不動産関連業界向けに発行している日刊紙の取材・編集をしています。
このたび、不動産市況全般についてのコラムを執筆させていただくことになりました。最近の不動産業界の現状や今後の見通しなどを一般の方々に分かりやすくお伝えしていきたいと思っています。
マンションなどを購入したい人や売却したい人、不動産に投資したいと考えている人たちに少しでもお役に立てれば幸いです。
どうぞよろしくお願いします。

第1回目は最近の不動産市況の大きな流れを整理して、不動産業界の置かれている現状を概観します。
 
黒字の上場企業なのに倒産・・・
不動産市況はバブル経済崩壊後、日本経済の「失われた10年」とともに長い不況を経験しました。流れが変わったのは、1990年代の終わりに海外の投資資金が入ってきてからです。その後、不動産ファンドやJリートに代表される不動産証券化という新しいビジネススタイルがでてきたことによって、2000年前後から市況が上向き、2007年頃まで比較的好調に推移しました。ところが、好調な市況に大きく貢献していた海外からの資金の流れが2007年の秋頃から悪くなりました。米国のサブプライムローン問題の影響です。昨年の夏以降、極端に悪化しました。米大手証券会社のリーマン・ブラザーズが9月に経営破綻した「リーマンショック」で世界的な金融不安が広がり、日本の金融機関の不動産業向けの融資額も大きく縮小し、現在の不動産市況は大幅に悪化しています。

「100年に一度の世界不況」などと言われていますが、現在の不動産市況はまさに「100年に一度」と言うのがけっして大げさではないくらい、危機的な状況にあります。それを端的に示す事例が不動産会社の相次ぐ倒産です。

企業の倒産自体は珍しくありません。しかし、昨年から起きている不動産会社の倒産はこれまでになかった特徴をいくつか備えています。
一つは、過去にはほとんどなかったマンション分譲業者(マンションデベロッパー)の倒産が急増したことです。その中には、売上規模の大きい上場企業が何社もありました。
二つ目の特徴は、直近の決算で過去最高の売上と利益を計上した業績のいい黒字会社でも倒産してしまうケースが多かったことです。黒字なのに資金繰りがうまくいかなくなって経営破綻するという「資金繰り倒産」が相次ぎました。
三つ目は、2001年9月に創設されたJリート(日本版不動産投資信託)の銘柄の一つが破綻してしまったことです。
 
不動産に資金が流れない
Jリートは、投資家から集めた資金と銀行などからの借入金で複数の不動産を運用し、その不動産の賃料や売却益などで投資家に配当したり、借入金の返済などに充てる新しい金融商品ですが、ポートフォリオと呼ぶ、複数の不動産を組み込んだ「投資法人」の経営が破綻してしまいました。
安定した賃貸収入や健全な財務体質、スポンサー企業の存在などによって、倒産することはないと言われていたJリートが破綻したことで、市場関係者の間に激しい動揺が起こりました。

こうした倒産はなぜ起きたのでしょうか。マンションデベロッパーの倒産は分譲マンションの市況が急速に悪化したことが要因です。つまりマンションが売れなくなったからです。しかしそれだけではありません。2005年に起きたマンションの耐震強度偽装問題、いわゆる「姉歯事件」に対応するため、建築基準法という法律が改正されました。2007年7月に改正された建築基準法は、マンションの建設業務を大きく混乱させました。マンションの着工が進まなくなり、デベロッパーは売上を確保できなくなって経営が苦しくなりました。

もう一つ大きな要因があります。金融機関が不動産会社に資金を融資しなくなったことです。「貸し渋り」や「貸し剥がし」という金融機関による融資の締めつけは、不動産業の血液の流れを止めてしまい、致命傷を与えました。多くの黒字倒産とJリートの破綻は金融機関の融資姿勢が厳しくなったため起きました。

金融機関が不動産会社に融資しなくなったのは、米国サブプライムローン問題に端を発した昨年夏以降の世界的な金融不安と株式市場の暴落が原因です。特に「リーマンショック」以降は「世界が一変した」と市場関係者は異口同音に話しています。
 
大きな転換を迫られている不動産業界

金融は産業の血液と言われますが、不動産業界でもとりわけ開発事業を行うデベロッパーにとって、金融は特に密接な関係を持っています。不動産という高額な商品を開発したり、取得したりする事業は、大きな資金がなければ成り立ちません。Jリートも同じです。現在の不動産市況は世界的な金融危機を最もダイレクトに反映しているため、100年に一度の危機的な状況にあると言えるのです。

バブル崩壊後の長かった不動産不況下でも今回のような不動産会社の倒産ラッシュは起きませんでした。むしろ、本来なら倒産してもおかしくない会社を銀行が必死になって救済しました。今は救済してくれる銀行はありません。黒字会社ですら、少しでも資金返済に窮したら問答無用で切り捨てられます。各不動産会社はまさに戦々恐々としています。

現在の不動産市況がバブル崩壊後以上に厳しいと言えるのは、金融環境の要因だけではありません。バブル崩壊後と違って、今は多くの産業が低迷し、雇用不安や消費の低迷などによって、オフィスビルや商業施設、物流施設などのテナント需要に大きな影響がでています。経済がグローバル化したことで、国内の事情だけでは見通せない新たなリスクも生まれています。さらに日本は人口減少社会に突入します。住宅を新しく購入する需要の絶対量は明らかに減ります。こうした景気動向や社会構造の変化などによって、不動産業は大きく転換せざるを得ない状況にあります。
変化への対応の仕方が今後の不動産市況の行方を握っていると言えます。

次回からは、マンション市況を中心に市場動向など、分野ごとに詳しく見ていきます。


バックナンバー
第1回 なぜ、不動産は不況に陥ったか?
第2回 首都圏を中心としたマンション市況の現状
第3回 マンションブームの背景
第4回 マンションの商品性 その進化と変遷
第5回 マンション市況と今後の見通し
第6回 新築マンションの減少が及ぼす影響
第7回 社会構造と経済環境の変化に伴う今後の分譲マンション市場
第8回 これからの住宅政策のあり方とは?
第9回 マンション市況の最新動向と回復の見通し
第10回 この1年をふり返って、そして来年の展望

>>楽待コラム第二弾「日刊不動産経済通信 田村編集長の最新不動産市況」はこちら

田村 修 田村 修(たむら おさむ)
■プロフィール
出版社勤務などを経て、1985年4月に株式会社不動産経済研究所に入社。
不動産業界唯一の日刊紙である『日刊不動産経済通信』の記者として、不動産関連業界を取材。大手ハウスメーカーやゼネコン、総合不動産会社、不動産流通会社、マンションデベロッパー、Jリート、国土交通省などを担当。
2008年2月から『日刊不動産経済通信』編集長。
株式会社不動産経済研究所のホームページはこちら

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