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不動産投資の楽待

誰にでもわかる不動産市況

田村 修 田村 修(たむら おさむ)
株式会社不動産経済研究所、日刊不動産経済通信編集長の田村氏が、最近の不動産業界の現状や今後の見通しなどを、一般の方々にも分かりやすくお伝えします。
第2回 首都圏を中心としたマンション市況の現状
公開日 2009/4/1
連載の第2回目からは分譲マンションの市況について詳しく見ていきます。今回は首都圏を中心としたマンション市況の現状を探ります。
 
マンション価格が下がり、モデル来場者が増加
マンションの販売現場は久々に盛り上がっています。今年の年明け以降、モデルルームへの来場者数が大幅に増え、販売会社はかつてのマンションブームを彷彿とさせるような賑わいに嬉しい悲鳴を上げています。購入者との契約作業に追われているある販売会社は、営業社員のほとんどが3月以降は連日徹夜に近いと話していました。

世の中は100年に一度の大不況と言われ、前回のコラムでも触れたように不動産市況は特に厳しい状況に置かれているのになぜ? と思われるかもしれません。
マンション販売は活況を呈していますが、マンション業界は好調ではないのです。


現在売れているマンションは比較的郊外にあるファミリータイプが中心です。価格帯は3000万円前後から4000万円台です。多くが一昨年または昨年に販売を開始したマンションで、すでに建物が完成していてすぐに入居できるか、この3月末に完成・引き渡しを予定している物件です。販売在庫あるいは完成在庫とも呼ばれています。都心部の5000万円を超える高額物件の販売は苦戦しています。特に1億円超のいわゆる億ションはなかなか売れません。

事業主であるマンションデベロッパーの多くは3月末に決算期を迎えます。第1回目で取り上げたように、金融環境が非常に厳しいため、各社にとっては資金繰りが喫緊の経営課題です。少しでも早く在庫を売りさばいて借金を返済し、新たな運転資金を調達しなければ、会社が倒産してしまいます。


販売を開始したときの価格より安くなってもいいから早く売ってしまいたい、という各社の思惑が大勢のマンション購入者を販売現場に集めていると言えます。価格を下げなければ売れないのですから、好調な市況ではありません。

なぜ価格を下げなければ売れないのか。すべてのマンションが値下げしないと売れないわけではありませんが、土地代と建築費の高騰などによって、マンション市況はここ2年で販売価格が大幅に上昇し、顧客離れが起きて売行きが悪化してしまったからです。
 
価格改定とアウトレットマンションの登場
価格が下がったマンションは大きく分けて二通りあります。一つは、最初に売り出した販売価格を値下げしたケースで、価格改定と呼ばれています。昨年の秋頃からそうした傾向が顕著になってきました。売行きが悪いため、最初に買った顧客に対して値下げした分の差額を返還してもいいから、価格を安くして売り切った方が得策である、とデベロッパーが判断していることになります。

もう一つは、デベロッパーが抱えている売れ残り在庫を別の不動産会社が一括して大幅に安く引き取って、そこに利益を乗せて再度一般向けに販売するケースです。買取り再販物件、あるいはアウトレットマンションなどと言われています。


価格改定と買取り再販によってマンション価格は大きく下がりました。2006年の後半から2007年前半のピークに対して2割前後下落しているのが実態です。相場が見えない、あるいは相場感がつかめない、という声も事業者サイドからは聞こえてきます。特にアウトレットマンションという買取り再販は家電量販店の安売りセールのような印象を与え、マンションの購入意欲をあおっている部分があります。ただし、アウトレットマンションは期間が限定された商品ですから、いずれなくなります。

大きな流れでみると、値下げによってマンション価格は調整局面の真っ只中にあり、デベロッパー各社は4月から始まる新年度からの新規物件の販売価格を探っている状況にあります。


マンションを購入するために多くの顧客が販売現場に足を運び、実際に契約を結んでいるのですから、適正な販売価格がある程度見えてきていることは間違いありません。大事なことは、マンションの購入ニーズが依然として根強いことです。事業者側が購入者側に受け入れられる価格で販売して一定の利益を得られるようになれば、マンション市況は安定してくるでしょう。
 
政策フォローで買いやすい環境に
マンション市況が回復するための分岐点の一つは、比較的好調に売れている在庫処理にいつメドがつくかです。デベロッパー各社は在庫整理を終えないと、積極的な新規物件の発売に踏み切れません。新たな用地の取得も進めづらくなります。

もう一つは、土地代と建築費がどこまで下がるか。売れる価格で販売して一定の利益を稼ぐためには、現状の事業コストではまだ厳しいという声も聞きます。マンションの販売価格、土地代、建築費はいずれも需給関係で決まります。現状ではどれも調整局面にありますから、市況回復までにはしばらく時間がかかるとみた方がいいでしょう。


調整のスピードを早めるためには、過去に高い価格で取得してまだ事業化していないマンション用地を赤字覚悟で事業化していくことが必要です。財務力のあるデベロッパーは赤字で処理できますが、体力のないデベロッパーが抱えている用地は塩漬けとなって、損失を確定できないまま、市況の回復を待つという状況になります。そうなると回復までに時間がかかります。新たな用地取得自体もなかなか進まなくなります。早く底値を見極めること。マンション業界に必要なのはそのことに尽きると思います。


住宅は不況になれば政策がバックアップしてくれます。今回も過去最大となる住宅ローン減税が打ち出されました。住宅ローン金利も低水準のまま推移すると予想されます。マンション価格は大幅に下がりました。まだ底を打ったとは言い切れませんが、現在の活況な販売状況をみる限り、これ以上大きく下がっていくことは考えにくいでしょう。購入者にとっては買いやすい環境にあることは間違いありません。


次回はマンション市況の大きな流れを整理し、今後のトレンドに迫りたいと思います。

バックナンバー
第1回 なぜ、不動産は不況に陥ったか?
第2回 首都圏を中心としたマンション市況の現状
第3回 マンションブームの背景
第4回 マンションの商品性 その進化と変遷
第5回 マンション市況と今後の見通し
第6回 新築マンションの減少が及ぼす影響
第7回 社会構造と経済環境の変化に伴う今後の分譲マンション市場
第8回 これからの住宅政策のあり方とは?
第9回 マンション市況の最新動向と回復の見通し
第10回 この1年をふり返って、そして来年の展望

>>楽待コラム第二弾「日刊不動産経済通信 田村編集長の最新不動産市況」はこちら

田村 修 田村 修(たむら おさむ)
■プロフィール
出版社勤務などを経て、1985年4月に株式会社不動産経済研究所に入社。
不動産業界唯一の日刊紙である『日刊不動産経済通信』の記者として、不動産関連業界を取材。大手ハウスメーカーやゼネコン、総合不動産会社、不動産流通会社、マンションデベロッパー、Jリート、国土交通省などを担当。
2008年2月から『日刊不動産経済通信』編集長。
株式会社不動産経済研究所のホームページはこちら

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