マンション・一戸建てのマッチングサイト - 住宅ナビ -特許取得済み

不動産投資の楽待

誰にでもわかる不動産市況

田村 修 田村 修(たむら おさむ)
株式会社不動産経済研究所、日刊不動産経済通信編集長の田村氏が、最近の不動産業界の現状や今後の見通しなどを、一般の方々にも分かりやすくお伝えします。
第3回 マンションブームの背景
公開日 2009/5/1
連載第3回目では、マンション供給のここ約20年の流れを概観し、10年以上に及んだマンションブームの背景を見ていきます。
 
「土地神話」の崩壊でマンションが大衆化
「土地神話」という言葉が健在だったころ、土地に限らず、戸建て住宅やマンションなどあらゆる不動産価格は上昇するのが当たり前だと思われていました。90年代の初頭にバブル経済が崩壊するまで、不動産価格が下がることは想定されませんでした。日本経済全体が戦後ほぼ一貫して右肩上がりで成長し、それに歩調を合わせるように不動産価格も上昇し続けました。当然、マンションも価格が値上がりすることを前提に販売され、購入されました。

今マンションを買っている中心世代である20代、30代の人たちには想像できないかもしれません。住宅は値上がりする資産でした。最初は賃料の安い賃貸アパートに住んで、頭金が貯まったらマンションを買い、最後はそのマンションを高く売って庭付きの一戸建てを買うのが給与所得者の典型的な住替えパターンで、それは「住宅双六」と呼ばれました。


今は値上がりすると思ってマンションを買っている人はごく稀でしょう。「住宅双六」は過去の話です。マンションは一戸建てに住替えるまでの仮の住まいではなく、永住型の住宅になりました。何年か住んでから売らなければならなくなったときに、買った価格より高く売却できたら、それは結果的に良かったというだけで、将来高く売ることがマンションを買う目的ではありません。

もちろん投資という発想でマンションを購入している人はいます。ワンルームマンション投資がその典型ですが、それは賃料収入を得る利回り商品として買っています。住むための利用価値としてどこまで優れた品質を持っているかがマンションに求められています。マンションが都市型住宅としてすっかり定着してきたのは論を待たないでしょう。それは利用価値が評価されているからです。
 
マンション供給ラッシュと大ブーム
鉄筋コンクリートの集合住宅がマンションと呼ばれるようなったのは昭和30年代の後半からと言われていますから、マンションの歴史はまだ40数年に過ぎません。そのうちの約半分、この20年位の間でマンションは一気に大衆化し、都市型住宅として人口に膾炙しました。

バブル経済真っ盛りの80年代後半、マンションは価格が高騰し、一般の給与所得者には買いたくても高くて手が届かない高嶺の花になりました。もともと高額のイメージが強かったマンションが、既に住宅を所有している買替え層や富裕層のための資産になってしまいました。一般消費者がマイホームを諦めた時代、それがバブル期でした。ところがバブル崩壊による地価の下落で、その構図ががらりと変わりました。


首都圏のマンションの新規発売戸数は、概ね年間4〜5万戸の市場規模で推移しました。バブル崩壊後の91〜92年に2万戸台まで落込み、93年に4万戸台に回復しました。4万戸台は適正と言われていた本来の市場規模です。供給規模がようやく巡航ベースに戻ったはずでした。

しかし、翌年の94年には約8万戸というかつてない大量のマンションが新規に発売されます。この大量供給は07年までの14年間続きました。この間、山一證券や北海道拓殖銀行などの経営破綻による金融危機の影響で、98年には6万戸台にいったん減少したものの、翌年から8万戸台に戻り、00年には9万5635戸(不動産経済研究所の調査)と10万戸に迫る史上最多の供給を記録しました。これだけ大量のマンションが新しく発売されたにも関わらず、売行きを示す契約率は9割を超えました。


94年から07年までの14年間に首都圏で発売された新規マンション戸数はトータルで約113万戸。1年間の平均戸数は約8万戸です。かつての市場規模の約2倍のマンションが10年以上にわたって供給されたことになります。
 
低価格、低金利、減税&プレーヤーの増加
この大量供給を支えた要因は大きく分けて四つあります。一つは地価が下がって安い価格のマンションを供給できるようになったことです。買える価格になったことによって、バブル期にマイホームを諦めた若いファミリー層を市場に呼び込むことができました。

二つ目の理由は低金利です。バブル経済崩壊後、政策金利の引き下げをはじめ、国債価格の上昇に伴う長期金利の低下、各種貸出金利の抑制が続き、住宅ローン金利はかつてない低水準で推移しました。三つ目の理由は減税措置です。住宅取得促進税制や住宅ローン減税という、ローンを組んで住宅を買えば税額の一定割合が控除されるという政策のバックアップがこの間に行われました。


四つ目は供給側の事情です。不動産の開発は本来、長期的な事業ですから、地価が右肩上りで上昇しないと事業そのものが成立しません。バブル崩壊後の地価の長期的な下落によって、不動産会社は土地を取得してから販売するまでの期間が短い短期回転型のマンション事業にシフトせざるを得えませんでした。新興デベロッパーという、バブル崩壊後に設立した不動産会社も多く出現し、マンション事業に参入しました。
 
マンションは日本の住宅を代表する形態に
以上の主な要因によって、マンションの大量供給が生まれ、その結果マンションは大衆化し、都市型住宅の主役としての地位を定着させました。今では、政府の住宅政策と言えば、即ちマンション政策と言っていいほど、マンションは日本の住宅を代表する住まいの形態になっています。


いろいろな外部要因に支えられたとは言え、10数年に及ぶマンションの大量供給は漫然と行われたわけではありません。デベロッパー同士の様々な競合を生みました。そのことによってマンションは商品としての質が高まり、住宅としての進化を遂げることにもなりました。いいマンションが多く供給されることで、消費者の眼も磨かれるようになり、そのことがマンションづくりにフィードバックされるという循環につながりました。


次回ではマンションの様々な進化を見ていきます。

バックナンバー
第1回 なぜ、不動産は不況に陥ったか?
第2回 首都圏を中心としたマンション市況の現状
第3回 マンションブームの背景
第4回 マンションの商品性 その進化と変遷
第5回 マンション市況と今後の見通し
第6回 新築マンションの減少が及ぼす影響
第7回 社会構造と経済環境の変化に伴う今後の分譲マンション市場
第8回 これからの住宅政策のあり方とは?
第9回 マンション市況の最新動向と回復の見通し
第10回 この1年をふり返って、そして来年の展望

>>楽待コラム第二弾「日刊不動産経済通信 田村編集長の最新不動産市況」はこちら

田村 修 田村 修(たむら おさむ)
■プロフィール
出版社勤務などを経て、1985年4月に株式会社不動産経済研究所に入社。
不動産業界唯一の日刊紙である『日刊不動産経済通信』の記者として、不動産関連業界を取材。大手ハウスメーカーやゼネコン、総合不動産会社、不動産流通会社、マンションデベロッパー、Jリート、国土交通省などを担当。
2008年2月から『日刊不動産経済通信』編集長。
株式会社不動産経済研究所のホームページはこちら

複数社から届く査定額をじっくり比較検討する事が出来ます

東京・神奈川・横浜・川崎・埼玉・千葉の中古マンションや京都・大阪・愛知・兵庫の新築一戸建てをお探しの方へ、「住宅の楽待」は不動産情報提供サイトです。

Copyright(C)FirstLogic.Inc All Rights Reserved.