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誰にでもわかる不動産市況

田村 修 田村 修(たむら おさむ)
株式会社不動産経済研究所、日刊不動産経済通信編集長の田村氏が、最近の不動産業界の現状や今後の見通しなどを、一般の方々にも分かりやすくお伝えします。
第4回 マンションの商品性 その進化と変遷
公開日 2009/6/1
前回はマンション供給の大きな流れを整理しました。今回はマンションの商品性がどのように進化してきたのか、その変遷にスポットをあてました。

10年以上にわたるマンションブームが起きた大きな要因の一つは、マンションを供給する各社が商品開発にしのぎを削ったことです。低金利、大型減税という外部要因だけでは、ブームを長い期間持続させることはできません。価格を安く抑えることができたのは、資産デフレと呼ばれた地価の下落と低い建築費が続いたからですが、魅力的な商品でなければいくら低価格でも消費者はついてきません。消費者を惹きつけるための付加価値をめぐる競争がマンションブームを支えたと言ってもいいでしょう。
 
「買いやすさ」から「広さ」を売り物に
バブル崩壊後にマンションデベロッパーが取り組んだのは、安くなった土地を仕入れて低価格のマンションを供給することでした。地価の高騰で住宅の購入を諦めていた若いファミリー層を市場に呼び込むためには、まず彼らが買える価格で供給しなければなりません。一般的な給与所得者が長期のローンを組んで購入できる価格は3000万円〜4000万円台です。

マンションの販売価格は通常、1坪(3.3m²)当たりの単価を目安にしますが、当時は単価の高低より総額を抑えることが重視されました。そのため、一戸当たりの専有面積を狭くすることで販売価格を安くしました。まず「価格ありき」でしたが、マンション価格が下がったことは、初めてマンションを買う一次取得層と呼ばれる購入者にとっては十分インパクトがありました。


「価格ありき」で供給されるようになったマンションは、17〜18坪と60m²に満たない専有面積で、間取りが3LDKというタイプが中心でした。部屋数が多くて面積が狭いため、各部屋やリビング、浴室などの面積をそれぞれ圧縮するしかなく、使い勝手が良いとは言えませんでした。

当時は資産デフレの真っ只中、土地の価格は下がり続けていました。そこで各社は総額を安く抑えたまま、住戸の面積を広くする方向を目指します。まず家族が集まるリビングを広くし、浴室などの水回り空間を広げました。次に収納スペースを充実させました。単に専有面積を拡大して広い収納スペースを確保するだけでなく、ウォークインクローゼットや床下収納、収納棚の設置など限られた面積の中で収納率を高めるための工夫も行ったのです。

マンションは一戸建てに住替えるまでの仮の住まいではなく、終の住処である永住型を目指して、商品の主流が「60m²未満の3LDK」から「70m²台の3LDK」、そして「80m²台の3LDK」へと進化していきました。
 
既製品からオーダーメイド型へ
広さに続いて行われたのは、内装や間取りプランの工夫です。注文建築住宅と違って分譲マンションは既製品ですから、消費者はあらかじめ決められた内装や間取りプランを購入することになります。ただ、マンションは通常、青田売りと呼ばれる販売手法によって、建物が完成する半年前もしくは1年位前から販売が始まります。購入を決めてから、建物が完成して実際に入居するまでにはタイムラグがあり、それを利用して間取りなどの一部を変更できる新しいプランニングが開発されました。

3LDKの間仕切りを変更して広めの2LDKにしたり、逆に4LDKに変えたり、和室を洋室に変更することなどを可能にしました。内装についても、材質やカラーデザインなどを複数のバリエーションの中から選択できるようにするなど、オーダーメイドに近づける工夫が施されました。


間取り変更や内装の選択などをさらに進めたのがスケルトン(構造)・インフィル(内装)住宅(SI住宅)という発想です。通常の建物より階高を高くすることで、二重天井と二重床を実現し、配管の位置まで自由に移動できるようにして、水回り設備までを含め、構造躯体以外はすべて変更できるのがSI住宅です。間取りの自由度が高く、マンションのフリープランと言ってもいいでしょう。

SI住宅の最大のメリットは将来のリフォームがやりやすいことです。内装部分をすべて変えることができるからです。ただし、階高が高くなるため、例えば通常なら10階建てとなる建物が9階建てまたは8階建てになり、供給側にとっては住戸総数が減るというデメリットが生じます。当然、その分は販売価格に反映されますから、割高になります。
 
設備機器の改良と共用施設の充実
マンションの商品性の進化で見逃せないのは設備機器の改良です。特に浴室、洗面所、トイレ、キッチンという水回りは広さも重要ですが、設備による使い勝手の良さが大きなポイントになります。設備機器メーカー各社のイノベーションによって、この十数年の間に最も進化したのが水回り設備と言っても過言ではないでしょう。浴室であれば、浴槽の大きさや形状に加えて、洗いやすさ、黴が発生しにくい材質の採用などメンテナンス面での改良点はまさに日進月歩です。


十数年にわたってマンションが大量供給されたのは、1物件が数百戸という大規模なマンションが次々に登場したためでもあります。500戸、600戸、あるいは1000戸という大規模なマンションは、ブームとなる90年代半ば以前にも供給されたことはありますが、極めてレアケースです。

今回のブームでは、大規模マンションが大量に供給されたことも特徴です。大規模マンションの良さはそのスケールメリットを活かした共用部の充実です。マンションによっては、託児所やAVルーム、パーティールーム、ゲストルーム、温泉など、集会室を超えた様々な共用施設が設けられました。

都心部を中心に大量に供給されたタワーマンションと言われる超高層マンションは共用施設として高層階に展望施設を設置するケースがあります。タワーマンションは眺望という付加価値が大きな売り物ですが、建物自体がそのエリアのランドマークになるという新たな価値とステイタスも提供しました。


マンションを躯体構造として見ると、耐震強度がアップしたことが大きな進化です。95年の阪神大震災後に開発された免震構造は、マンションだけではなく、病院や重要文化財に指定された建物などにも採用されていて、地震による建物の揺れを軽減する構造として普及しています。免震マンションは安全性を追求した究極の建物と言えます。

バックナンバー
第1回 なぜ、不動産は不況に陥ったか?
第2回 首都圏を中心としたマンション市況の現状
第3回 マンションブームの背景
第4回 マンションの商品性 その進化と変遷
第5回 マンション市況と今後の見通し
第6回 新築マンションの減少が及ぼす影響
第7回 社会構造と経済環境の変化に伴う今後の分譲マンション市場
第8回 これからの住宅政策のあり方とは?
第9回 マンション市況の最新動向と回復の見通し
第10回 この1年をふり返って、そして来年の展望

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田村 修 田村 修(たむら おさむ)
■プロフィール
出版社勤務などを経て、1985年4月に株式会社不動産経済研究所に入社。
不動産業界唯一の日刊紙である『日刊不動産経済通信』の記者として、不動産関連業界を取材。大手ハウスメーカーやゼネコン、総合不動産会社、不動産流通会社、マンションデベロッパー、Jリート、国土交通省などを担当。
2008年2月から『日刊不動産経済通信』編集長。
株式会社不動産経済研究所のホームページはこちら

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