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不動産投資の楽待

誰にでもわかる不動産市況

田村 修 田村 修(たむら おさむ)
株式会社不動産経済研究所、日刊不動産経済通信編集長の田村氏が、最近の不動産業界の現状や今後の見通しなどを、一般の方々にも分かりやすくお伝えします。
第5回 マンション市況と今後の見通し
公開日 2009/7/1
今回は直近のマンション市況と今後の見通しについて概観します。最近の不動産不況の中でも、とりわけマンション市況の厳しさが際立っています。中古住宅の流通が新築住宅の販売を大きく上回っている欧米などと違って、日本の住宅マーケットは新築が中古より圧倒的に多いのが特徴です。新築中心のマーケットですから、特に新築マンションの供給が大幅に減っている現在の市況は、より不況感を強めています。
 
新築マンションの発売が先細り
不動産経済研究所が毎月まとめているマンション市場動向によると、首都圏で今年5月に発売された新築マンションは前年の同じ月に比べて約2割減少しました。新築マンションの発売戸数は2007年9月以降、21カ月連続で前年同月の水準を下回っています。新規の発売戸数は市況を占う重要な指標です。

マンションの新規供給が1年半以上も低水準で推移しているのは第1回目と2回目のコラムでも触れたように、価格の上昇に伴う売行きの不振と金融不況による事業者に対する新規融資の引き締めで、事業者が新たなマンション用地を取得しづらくなっているからです。このままでは新規の発売戸数が中長期的に先細ってしまうかもしれません。


一方でマンションの販売状況は比較的好調です。販売価格が下がったためです。マンションの売行きを示す契約率は好調ラインである70%を上回っています。消費者は価格に敏感です。マンションの販売センターや販売会社に行かなくても、インターネットで物件情報の詳細を入手できる時代ですから、消費者の目は肥えています。

今年に入ってから販売現場への来場者数が増加傾向にあるのは、マンション価格が安くなったことが消費者に浸透したからです。


東急住生活研究所が首都圏に住む25歳以上の男女を対象に、最近行った住宅計画に関する意識調査によると、マンションの購入を計画していて今が「買い時」と思っている人の割合は約70%でした。昨年の同じ時期に実施した調査結果と比べて約30ポイントも上回っています。

この調査結果を見てもわかるとおり、消費者側の意識はマンションの購入に対して積極的です。本来であれば、事業者側にとってこれほど良好な環境はないわけですが、新しいマンションを開発する環境が回復する見通しは立っていません。
 
リノベーションマンションに注目
日本は人口減少時代に突入しました。かつて不足していた住宅ストックは、今では世帯数を大きく上回っています。理論上では新たに住宅を供給しなくても、現在ある住宅ストックを活用し、流通させることで需要を吸収できます。ただ日本の住宅は耐用年数が短いという問題と、古い住宅ストックには耐震強度上の不安があるという課題を抱えています。

建築基準法の改正で耐震設計の基準が強化されれば、新しい基準が適用される以前に建てられた住宅は旧耐震設計の建物として、市場での評価は低くなります。日本の住宅マーケットが新築中心に形成されているのは、住宅に関する法制度が頻繁に変わることと、絶対量が不足していた時代に建てられた古い住宅ストックの多くが質の面で見劣りしているからです。


新築のマンションを開発する事業機会が減ってしまった事業者にとっては、大量に存在する中古マンションストックは新たなビジネスチャンスの宝庫として期待されています。築年数が古くて設備・仕様で見劣りがする中古マンションを買い取り、全面改装して新築並みの設備・仕様に変えて販売するリノベーションマンション事業に力を入れている事業者が増えてきました。こうした事業は以前からありましたが、新築のマンション事業が軌道に乗っているときは、敢えて積極的に取り組もうという動きにはならなかったようです。

リノベーションマンションの強みは立地の良さです。比較的古い中古マンションは都心部の好立地に建っているケースが多いので、立地による差別化を図るという観点から、これからもっと注目される可能性があります。


売れ残っている販売在庫を安く買い取って一般消費者向けに再販するアウトレットマンション事業は、参入する事業者が増えたため、買い取り価格が高騰して事業としての採算性が薄れてきました。買い取りの対象となる販売在庫そのものも減っています。アウトレットマンション事業は販売状況が極端に悪くなったときだけ成立するので、一過性の意味合いが強い事業です。現在のように販売状況が比較的好調であると、事業機会は減少します。
 
都心コンパクトマンションは新たなトレンド
ポスト大量供給時代の分譲マンション事業はどうなるのでしょうか。価格競争力のある郊外のファミリータイプは一定の需要が続くでしょう。ただこれまでのような団塊ジュニア世代を中心としたボリュームゾーンのニーズがなくなっていきます。本格的な少子高齢化の中で子育てのためのファミリーマンションは今後、供給の主役にはならないかもしれません。

それに代わるのが、単身者や子供のいない夫婦向けの都心コンパクトマンションです。子育てを終えて都心の便利なマンションに住みたい老夫婦の需要もこれから増えてきますから、需要の増加が見込まれています。


住宅の寿命を長くするための制度として、長期優良住宅普及促進法が今年6月に施行されました。この法律は耐震性や強度、省エネ性、バリアフリー性などが優れた住宅を長期優良住宅として認定する制度で、購入者側には税制上のインセンティブがあります。

注文建築住宅や建売住宅ではこの制度を活用する動きがありますが、マンションではまだ導入する動きがありません。もともと耐久性や耐震性などで遜色がない上、価格が2割程度割高になってしまうからです。コスト面での課題がクリアされれば、マンションにもこの制度が普及していくでしょう。


環境対策への取り組みも注目されています。既に戸建て住宅では太陽光発電システムの設置が進んできていますから、マンションへの本格的な導入も時間の問題だと思います。新築マンションの供給が絞り込まれ、以前のような大量販売・大量消費という図式が成立しなくなったマンション市況は、新たな質の競争が始まるに違いありません。

バックナンバー
第1回 なぜ、不動産は不況に陥ったか?
第2回 首都圏を中心としたマンション市況の現状
第3回 マンションブームの背景
第4回 マンションの商品性 その進化と変遷
第5回 マンション市況と今後の見通し
第6回 新築マンションの減少が及ぼす影響
第7回 社会構造と経済環境の変化に伴う今後の分譲マンション市場
第8回 これからの住宅政策のあり方とは?
第9回 マンション市況の最新動向と回復の見通し
第10回 この1年をふり返って、そして来年の展望

>>楽待コラム第二弾「日刊不動産経済通信 田村編集長の最新不動産市況」はこちら

田村 修 田村 修(たむら おさむ)
■プロフィール
出版社勤務などを経て、1985年4月に株式会社不動産経済研究所に入社。
不動産業界唯一の日刊紙である『日刊不動産経済通信』の記者として、不動産関連業界を取材。大手ハウスメーカーやゼネコン、総合不動産会社、不動産流通会社、マンションデベロッパー、Jリート、国土交通省などを担当。
2008年2月から『日刊不動産経済通信』編集長。
株式会社不動産経済研究所のホームページはこちら

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