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不動産投資の楽待

誰にでもわかる不動産市況

田村 修 田村 修(たむら おさむ)
株式会社不動産経済研究所、日刊不動産経済通信編集長の田村氏が、最近の不動産業界の現状や今後の見通しなどを、一般の方々にも分かりやすくお伝えします。
第6回 新築マンションの減少が及ぼす影響
公開日 2009/8/3
前回のコラムでは、新築マンションの発売が先細りしてしまうかもしれない現状を紹介しました。今回は新築物件の減少がマンション市場にどんな影響を及ぼすのか、いろいろな角度から検証してみます。関連する話題として、マンションの「在庫」についても取り上げました。
 
新築マンションが貴重!? な時代
新築マンションは2007年の秋から発売戸数が減少傾向に転じています。首都圏の2007年1年間の発売戸数は前の年に比べて約2割減少しました。2008年はそこからさらに3割近く落込み、今年の上半期は昨年の同じ時期より約25%の減少です。

不動産経済研究所の予測では、首都圏の今年1年間の新築マンション発売戸数は3万5000戸と17年ぶりに4万戸を下回る低水準となる見通しです。


これまでのコラムでも触れてきたように、マンションは大都市圏を中心とした安定的な大量供給が長く続いたことによって、都市型住宅として定着しました。様々な商品開発の工夫がなされ、設備機器の進化・発展、大規模物件にみる充実した共用施設、都心のタワー型物件の登場など、マンションは快適な居住空間として、都市住民には不可欠の存在となりました。消費者への各種意識調査をみても、マンション購入に対するニーズが根強いことがわかります。


新築マンションと中古マンションを比べると、前者に対する人気が圧倒的に高いことが欧米と異なる日本の特徴です。これまでの大量供給は新築マンションへの強いニーズに応えることができました。

ところが、現在は新規供給戸数がかつての半分以下に減ってしまい、新築マンションを購入する選択肢が以前よりぐっと少なくなりました。特に郊外部の新規供給が大幅に減少しています。新築マンションが貴重な存在になり、売り手側にとって有利な環境になっていくことも考えられます。
 
大手不動産会社を中心とするマンション事業
新築マンションを発売することはハードルの高い事業になってきました。コンスタントに供給できる企業にとってはビジネスチャンスです。いま新築マンションを安定的に供給できる企業は、旧財閥系をはじめとする大手総合不動産会社、鉄道会社とその系列の不動産会社、商社および商社系不動産会社、信用力のある大手企業を親会社に持つ不動産会社などです。

資本力が比較的小さい独立系の不動産会社は事業資金を金融機関から調達しづらくなったため、新築マンションを発売することが難しくなりました。


大手以外の不動産会社にとって、マンション事業のハードルが高くなった理由がもう一つあります。建築費の支払い条件が厳しくなったことです。

マンションの建築費は着工時などに支払う一時金以外は、事業会社が販売代金を回収してから全額を支払う方式が一般的でしたが、マンションデベロッパーの相次ぐ倒産によって、信用力の劣る不動産会社に対しては、建物の完成後に全額を請求するなど、ゼネコン側が会社に応じて支払い条件を変えるケースがでてきました。その結果、中堅以下の不動産会社がマンション事業を手がけるリスクは高まりました。


原材料である土地の価格と建築費が下がり、リーズナブルな価格でマンションを販売できる事業環境になってきただけに、供給したくてもできない現在の金融環境とゼネコンの姿勢は、大手以外の不動産会社にとっては大きな痛手となり、その結果としてマンション全体の供給戸数が増えないことは消費者にとっても大きなマイナスです。
 
新規のマンション用地を取得できない!?
では、新築マンションを安定的に供給できる大手の不動産会社に懸念材料はないのでしょうか。億ションなどの高額マンションを除くと、売行きは好調です。競合する不動産会社が減少したため、過度な価格競争も今後はなくなるでしょう。

しかし、雇用不安や賃金の低下など日本経済全体の不振がマンションの購入マインドを冷やし、マーケット自体は当面、縮小せざるを得ないのが現状です。マンション購入に対する潜在需要は大きくても、それを顕在化していく環境ではないため、供給者側にとっては厳しい市況です。


懸念材料はもう一つあります。新規のマンション用地の取得が進んでいないことです。競合が減ったとは言え、数十社が競うマーケットですから、事業用地を安定的に確保していくことには大きな労力を伴います。エリアによっては事業用地の出物が少なく、取得するためには高値を提示しなければならないケースもでてきます。

用地の取得価格は販売価格に反映されますから、消費者側と供給者側との間で販売価格に対する乖離が生じれば、売行き不振に陥ってしまいます。
 
販売在庫は減少、完成在庫は増加、隠れ在庫も
最後は在庫の動向についてです。不動産経済研究所の調査によると、首都圏の新築マンションの売れ残り在庫は昨年末に1万2000戸を超えてピークを打ちました。今年に入ってから在庫は減少し続け、6月末の時点で8000戸を切るまで回復しました。販売中の在庫が7000戸台というのはかなり低い水準です。

新築マンションの供給が激減している郊外部では、販売在庫がほとんどない空白地帯が増加しています。このままでは新築マンションがまったく販売されないエリアがでてきます。


販売在庫は低水準ですが、建物が完成している完成在庫は以前より増えています。販売在庫に対する完成在庫の割合は50%を超え、6月末時点では64.5%(不動産経済研究所調べ)と高い水準にあるのが特徴的な動きです。建物の竣工後に多く売れ残るということは、それだけ不動産会社の利益を圧迫することになります。


既に着工しているのにまだ販売していないマンション、あるいは着工を先送りしている物件も相当数あるとみられていて、そうした案件も在庫と見なすと、在庫はもっと大幅に増えます。そういう在庫を「隠れ在庫」などと呼んでいますが、隠れ在庫が顕在化して市場の中で消化されない限り、新築マンションの供給が安定的に増えることはありません。市況が本格的に回復するまで、まだ時間がかかりそうです。

バックナンバー
第1回 なぜ、不動産は不況に陥ったか?
第2回 首都圏を中心としたマンション市況の現状
第3回 マンションブームの背景
第4回 マンションの商品性 その進化と変遷
第5回 マンション市況と今後の見通し
第6回 新築マンションの減少が及ぼす影響
第7回 社会構造と経済環境の変化に伴う今後の分譲マンション市場
第8回 これからの住宅政策のあり方とは?
第9回 マンション市況の最新動向と回復の見通し
第10回 この1年をふり返って、そして来年の展望

>>楽待コラム第二弾「日刊不動産経済通信 田村編集長の最新不動産市況」はこちら

田村 修 田村 修(たむら おさむ)
■プロフィール
出版社勤務などを経て、1985年4月に株式会社不動産経済研究所に入社。
不動産業界唯一の日刊紙である『日刊不動産経済通信』の記者として、不動産関連業界を取材。大手ハウスメーカーやゼネコン、総合不動産会社、不動産流通会社、マンションデベロッパー、Jリート、国土交通省などを担当。
2008年2月から『日刊不動産経済通信』編集長。
株式会社不動産経済研究所のホームページはこちら

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