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不動産投資の楽待

誰にでもわかる不動産市況

田村 修 田村 修(たむら おさむ)
株式会社不動産経済研究所、日刊不動産経済通信編集長の田村氏が、最近の不動産業界の現状や今後の見通しなどを、一般の方々にも分かりやすくお伝えします。
第7回 社会構造と経済環境の変化に伴う今後の分譲マンション市場
公開日 2009/9/7
昨年後半から今年の春にかけて起きた不動産会社の相次ぐ大型倒産は終息し、金融機関による貸し剥がしもほぼなくなり、不動産業界に対する過度な信用不安は解消されました。新築のマンション市場は売行きに関する限り、好調さを維持しています。中古住宅の流通市場も活発になってきました。賃貸オフィスビル市場の先行きが懸念されていますが、不動産業界全体の業績は概ね最悪期を脱して、回復に向かう兆しと期待感がでてきました。

ただ、今回の世界的金融危機の影響による不動産不況は、第1回目のコラムでも触れたように、日本が抱える社会構造の変化も加わって、不動産業界自体の抜本的な変革がなければ乗り越えられないような閉塞感を抱え込んでいます。

今回のコラムでは、社会構造と経済環境の変化に伴う今後の分譲マンション市場をテーマに取り上げました。
 
多極化するマンション購入層
分譲マンション供給のボリュームゾーンはこれまで、専有面積が60〜70m²前後の3LDKタイプを中心としたファミリー層向けでした。マンションデベロッパーにとって30〜40代の若いファミリー層を狙った商品を開発することが供給戦略の柱であり、各社がしのぎを削ることによってファミリータイプのマンションが進化してきたのが分譲マンションの歴史と言ってもいいでしょう。しかし、深刻化する少子高齢化や晩婚化によって、ファミリータイプを中心としたマンション市場は変化を余儀なくされています。

夫婦2人に子供1〜2人という、これまで典型的だった核家族のスタイルが、世帯形式に占めるボリュームゾーンではなくなりつつあります。代わって子供のいない共働き夫婦や単身者のマンションニーズが増えています。彼らが求める間取りは1LDKや2LDKタイプで、これまでは多く供給されなかったプランです。コンパクトマンションとも呼ばれ、専有面積はファミリータイプより圧縮しています。

専業主婦のいるファミリータイプと違って、平日の日中は無人となるケースが多いことから、例えば宅配ロッカーのような留守宅を管理するサービスや防犯機能を強化するためのシステムなどが求められるようになりました。コンパクトマンションの出現が、郊外から都心近郊型へというマンション立地の変化をさらに後押ししました。

最近は高齢の夫婦や単身者、女性の単身者のマンションニーズも増えており、マンションの商品企画は間取りや専有面積という物理的な観点からの工夫だけではなく、女性特有の、あるいは高齢者特有のニーズを吸い上げていく複合的なプランニングで対応していく時代になってきました。
 
マンション居住者と建物の高齢化問題
量を追ってきた新規大量供給の論理はマンション購入層が多様化したことで、見直しを迫られています。行政サイドは既存のマンションを有効活用したストック重視の住宅政策を進めています。新たな政権を担うことになった民主党もストック重視型の政策路線を掲げていますから、この流れは定着するでしょう。

ただ大きな問題が二つあります。一つは建物の老朽化が進んでいることです。耐震補強などの大規模な改修・修繕または建替えが必要とされる築30年を超えたマンションは現在約45万戸、約1万棟以上あると推計されています。この数は年々増加していきます。老朽化したマンションの再生を図っていかなければ、ストックの有効活用につながりません。

もう一つの問題は、マンションに住んでいる人たちの高齢化です。居住者に金銭的・物理的負担がかかる大規模修繕や建替えは、とりわけ高齢者にとっての負担が重く、建替え決議などの同意を得るのは困難です。限界集落ならぬ「限界マンション」の予備軍がこれからどんどん増えていくことは、ストック政策の推進にとっては大きな逆風です。

戦後日本の住宅不足を解消する一助となり、都市型住宅の主役として定着した分譲マンションのあり方が二つの高齢化によって根本から問われています。
 
不況の影響で売却される築浅マンションを狙うビジネス

今回の不況で若年層と働き盛りを襲っている雇用不安は、今後のマンションの売行きにブレーキをかけるだけではなく、既にマンションを購入した人たちの住宅ローンの支払いにも影を落としています。ローンの返済が厳しくなってマンションを売却する人たちが増えてきました。売却されるマンションは築年数が比較的浅い、優良な物件が多いようです。そうした売却物件を購入して転売するビジネスもでてきました。

新築マンションの供給が先細っているため、築年数が浅い中古マンションの商品価値は高まっています。不況によって手放された物件が新たなビジネスチャンスを生むというのは皮肉な現象ですが、マンションに対するニーズの根強さを物語っています。予算などの理由で新築物件を買えない人に、低価格で新築並みのクオリティーを提供できるのが比較的新しい中古物件です。

 
快適性がマンションライフの王道
新築マンション供給の先行指標であるマンション着工戸数の減少が続いています。昨年から急減したマンションの新規供給は今年さらに大きく減少し、着工戸数の状況をみる限り、来年は今年よりも低水準となる可能性が強まっています。90年代初頭のバブル崩壊を乗り越えて始まった長期にわたるマンションブームが終わり、マンション市場は新しいステージに入っています。

マンションの供給者側に必要なことは、マンションという住宅の原点に返ることです。過去のブームを醸成したのは、マンションならではの快適性を追求してきたからです。交通の便が良くて、生活利便施設が近くにあり、使い勝手が良い機能性の高い設備機器を設置し、間取りや収納スペースなどを工夫することによって、マンションは戸建住宅にない快適性を目指しました。開拓していない快適性はまだまだ残されているはずです。

バックナンバー
第1回 なぜ、不動産は不況に陥ったか?
第2回 首都圏を中心としたマンション市況の現状
第3回 マンションブームの背景
第4回 マンションの商品性 その進化と変遷
第5回 マンション市況と今後の見通し
第6回 新築マンションの減少が及ぼす影響
第7回 社会構造と経済環境の変化に伴う今後の分譲マンション市場
第8回 これからの住宅政策のあり方とは?
第9回 マンション市況の最新動向と回復の見通し
第10回 この1年をふり返って、そして来年の展望

>>楽待コラム第二弾「日刊不動産経済通信 田村編集長の最新不動産市況」はこちら

田村 修 田村 修(たむら おさむ)
■プロフィール
出版社勤務などを経て、1985年4月に株式会社不動産経済研究所に入社。
不動産業界唯一の日刊紙である『日刊不動産経済通信』の記者として、不動産関連業界を取材。大手ハウスメーカーやゼネコン、総合不動産会社、不動産流通会社、マンションデベロッパー、Jリート、国土交通省などを担当。
2008年2月から『日刊不動産経済通信』編集長。
株式会社不動産経済研究所のホームページはこちら

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