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不動産投資の楽待

誰にでもわかる不動産市況

田村 修 田村 修(たむら おさむ)
株式会社不動産経済研究所、日刊不動産経済通信編集長の田村氏が、最近の不動産業界の現状や今後の見通しなどを、一般の方々にも分かりやすくお伝えします。
第9回 マンション市況の最新動向と回復の見通し
公開日 2009/11/2
現在の不動産市況を一言で表すと斑模様です。一般向けの住宅販売については、新築マンション、戸建て分譲住宅、中古マンションは概ね好調です。1億円を超える高額マンションも物件によっては購入ニーズがでてきており、住宅に対する需要が堅調であることを顕しています。

ただ、新築マンションでも販売価格が6000万円を超えると、一気に客足は鈍くなります。投資物件や事業用地など、特に大型の不動産をめぐる法人取引は全般的に不調で、このことが不動産市況全般の回復を遅らせています。今回はマンション市況の最新動向と回復の見通しを探ります。
 
概ね好調な新築マンション市場
新築マンション市場は供給戸数の大幅な減少によって、エリアや価格帯、商品タイプによっては品薄感が強まっています。首都圏でかつて、約10年にわたって約8万戸の新規供給が続いたような需要の厚みはなくなりましたが、マンションに対する底堅いニーズは依然継続しています。

不動産経済研究所の調査によると、新築マンションの売行きを示す月間契約率は、首都圏では今年5月以降、5カ月連続でほぼ7割をキープしています。各物件のモデルルームには、20代後半という若い購入見込み客も多く来場しています。販売価格が下がったことや低金利に加えて、住宅ローン減税、贈与税の特例措置などの政策要因も後押ししています。懸念されるのは発売戸数が低水準であることですが、好調な売行きが続けば、いずれ回復してくるとみています。
 
中古マンションへの需要も旺盛
新築マンションの発売戸数が減少していることから、中古マンションに対する需要が旺盛になってきました。新築物件を探している顧客の中に、築年数の浅い中古物件でも構わないという層も増えているからです。中古物件を取り扱っている不動産仲介会社に対して、中古マンションを買いたいという需要は殺到しています。それに対してマンションを売りたいというニーズがなかなか増えません。買いたいという顧客が増えていますから、取引件数は増加しています。しかし、売り物件が少ないため、市場はややバランスを欠いています。各仲介会社は売り物件を集めることが当面の課題になっています。

需給バランスからみると、今後は中古マンション価格が多少上昇してくることが考えられます。そうなると、売り物件が市場に出やすくなるのですが、売り手を躊躇させているのは、物件を売却したあとに購入する新築マンションの市場が縮小していることです。新築マンションの供給が活発にならなければ、中古マンション市場も活性化しません。
 
同一エリア内に新築の競合物件が少ない
新築マンションの供給減少がマーケットに与える弊害がもう一つあります。それは競合物件が少なくなることです。消費者の購入意欲を高める要素の一つに物件の品揃えがあります。どんな商品にも共通していると思いますが、豊富な商品の中から自分が気に入ったものを選んで買いたいというのが消費者心理です。いくつかの商品を比較して初めて自分が買いたい商品のポイントがわかります。マンションの場合は立地、価格、間取りプランという最低三つの要素は複数の物件と比べて選びたいものです。ところが現在は新築物件の供給が限られているため、同一エリアで比較できる物件がほとんどないケースもでています。

同じエリア内にいくつか競合する物件があり、各社が活発な販売活動を展開することで、各物件への集客数が増え、そのことが消費者の購入意欲を高めることにもつながります。消費者は物件を比較し、いろいろと吟味した上で購入したい物件を決めることができれば満足度が増します。いまは中古マンションが新築マンションの競合物件となっているのですが、その中古物件も売り物が少ないため、購入意欲のある消費者にとってはミスマッチなマーケットです。
 
新築マンションの供給は来年から徐々に増加
新築も中古も売り物件が少ないマーケットはこの先どうなるのでしょうか。新築マンションの市場は景気がさらに悪化しない限り、来年の年明け以降は徐々に供給が増えてくるとみています。大量供給時代を支えていた大規模物件の新規発売計画がいくつか予定されているからです。デベロッパー各社とも販売在庫の処理にほぼメドをつけているため、そろそろ新規物件の発売に本格的に着手する気運がでてきました。供給が需要を刺激するのがマンション市況の特徴ですから、市況の回復は来年から始まると予想しています。
 
消費者の選択肢が厚みを増す

新築マンション市場が回復すれば、中古マンションの売り物件も増え、取引件数が拡大します。マーケット回復の鍵を握っているのは新築物件の供給動向です。一方で、平成以降の新築マンションの大量供給とそれに伴う高品質化によって、中古マンションの良質なストックが積み上がっています。新築物件と比べて遜色がないばかりか、立地ではむしろ中古物件の方が上回っているケースもありますから、良質な中古マンションに対する需要もこれからはもっと増えてくると思います。

今後の新築マンションの供給はこれまで以上に、良質な中古マンションとの競合を意識していくことになるでしょう。実際に新築物件にこだわらない消費者も増えてきていますから、消費者の選択肢が厚みを増した市場が徐々に形成されていくのがこれからの流れです。
 
高値で仕込んだ事業用地の行方
新築マンションの供給サイドが最も重視するのが販売価格の設定です。地価の下落によって事業用地の仕入れ価格が下がり、建築費も一時より安くなっています。そのため、これから新たに取得する土地に建設するマンションは消費者にとって買いやすい価格で提供できるはずです。しかし、地価が高かった2〜3年前に仕入れた土地では、現在のマーケット価格で事業化すると赤字になります。デベロッパー各社はまだ高値で仕込んだ土地を抱えています。損切りできる体力のある会社がどういう形でそうした土地を事業化してくるのか、今後の新築マンション市場の大きな注目点です。

バックナンバー
第1回 なぜ、不動産は不況に陥ったか?
第2回 首都圏を中心としたマンション市況の現状
第3回 マンションブームの背景
第4回 マンションの商品性 その進化と変遷
第5回 マンション市況と今後の見通し
第6回 新築マンションの減少が及ぼす影響
第7回 社会構造と経済環境の変化に伴う今後の分譲マンション市場
第8回 これからの住宅政策のあり方とは?
第9回 マンション市況の最新動向と回復の見通し
第10回 この1年をふり返って、そして来年の展望

>>楽待コラム第二弾「日刊不動産経済通信 田村編集長の最新不動産市況」はこちら

田村 修 田村 修(たむら おさむ)
■プロフィール
出版社勤務などを経て、1985年4月に株式会社不動産経済研究所に入社。
不動産業界唯一の日刊紙である『日刊不動産経済通信』の記者として、不動産関連業界を取材。大手ハウスメーカーやゼネコン、総合不動産会社、不動産流通会社、マンションデベロッパー、Jリート、国土交通省などを担当。
2008年2月から『日刊不動産経済通信』編集長。
株式会社不動産経済研究所のホームページはこちら

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