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不動産投資の楽待

誰にでもわかる不動産市況

田村 修 田村 修(たむら おさむ)
株式会社不動産経済研究所、日刊不動産経済通信編集長の田村氏が、最近の不動産業界の現状や今後の見通しなどを、一般の方々にも分かりやすくお伝えします。
第10回 この1年をふり返って、そして来年の展望
公開日 2009/12/2
今年最後のコラムとなりましたので、この1年の不動産市況全般を振り返り、来年の動向を展望したいと思います。不動産市況は昨年後半から大変強い逆風に晒されています。今年の春過ぎに、株式市場の反転や金融環境の若干の改善などがあり、回復の兆しを覗くことができましたが、夏以降、特に民主党による政権交代が行われてからは、日本の景気全体が先行きの不透明感を強め、不動産業界も二番底を探るような低迷に苦しんでいます。各事業分野を検証します。
 
新築分譲マンション市場
新築マンション市場は今年の年明けから客足が戻り、販売状況については概ね好調な1年でした。販売価格に底打ち感が出てきたことによって、購入を見送っていた顧客が一斉に動くようになりました。特にボリュームゾーンである郊外のファミリータイプは売行きが大変好調でした。売れ残りの販売在庫を買い取って大幅に値下げして再販売するアウトレットマンションが流行り、客足を呼び込んだことも影響しています。

5月の大型連休明けから5000万円台の物件も一部売れるようになり、都心部の高額物件の売行きも回復が期待されましたが、6000万円を超える高額物件の販売状況は依然厳しいままです。エリアや物件によっては1億円以上の億ションも人気を集めましたが、ごく限られており、本格的な回復には至っていません。

マンション市場の最大の問題は新築物件の供給戸数が大幅に減少したことです。活発な新規供給によってマーケットを開拓してきたここ十数年のマンション市況は昨年から一転して、市場は大幅に縮小しました。マンションを供給してきた不動産会社の相次ぐ経営破綻に加え、金融環境の悪化による事業資金の引き締めなど、複数の要因が重なった結果ですが、供給が大きく細ってしまうことはマーケットの盛り上がりを阻害します。

最近は、着工したけれども工事が中断してしまった案件や、販売している途中で売主が倒産した案件などを買い取って販売事業を引き継ぐケースも出てきており、そのような短期間で資金を回収できそうな物件については、中堅・中小の不動産会社にも金融機関が融資するようになったため、物件を供給するビジネスチャンスは一頃より増えています。

資金力のある大手不動産会社はマンション事業用地を積極的に購入しています。中堅以下の不動産会社は前述したように、短期間で資金を回収できそうな案件や小規模な事業用地の取得機会を狙っています。こうした動きは来年以降の新規供給につながってきますから、景気が極端に悪化しない限り、新築分譲マンション市場は今年より供給戸数が増え、活性化することは間違いないでしょう
 
中古マンション市場
中古マンションは新築物件の供給が減っているため、取引が活発に行われています。特に築年数が10年未満と比較的新しい物件は立地が比較的良くて、新築物件との競争力をもっているため、人気が高まっています。エリアによっては売り物件が少なくて価格が上昇しています。

ここ十数年の新築マンションの大量供給によって、良質な物件のストックが積み上がっていますから、中古マンション市場は中長期的に拡大することが予想されます。新築物件と違って、完成した状態を確認して購入でき、しかも新築より価格が低いため、優良な中古物件は顧客にとって大変ありがたい商品です。「住宅は新築」というこれまでの志向や大勢を変え、最初から中古物件を選ぶ消費者がこれから増えてくるのではないでしょうか。
 
オフィスビル市場
オフィスビルは稼働状況を表わす空室率が昨年の後半から上昇しています。空室率の上昇に伴い、テナントの募集賃料は下落し、既存テナントとの賃料改定でも減額を要請されるケースが増えています。中には、一定期間賃料を請求しない「フリーレント」と呼ぶ手法で、テナントを誘致するビルもあり、賃貸ビル事業としては大変厳しい環境にあります。

特にこれまで賃料水準が高かったオフィスビルやエリアほど、賃料の下落リスクに晒されていて、テナントが退去したあとに、賃料を下げないで新たなテナントを入れることが難しくなっています。 ビルを貸すオーナー側は弱気、借りるテナント側は強気というのが現在のオフィス市況ですが、空室率の上昇はそろそろ収まってきましたし、賃料水準も底に近づいてきたという見方が強まっています。オフィス市況は景気動向の影響を強く受けるため、予測は難しいのですが、空室率や賃料の動向を見る限り、早ければ来年の夏以降に回復するとみています。
 
Jリート市場

低迷している不動産投資市場が回復するための鍵を握っているのがJリート市場です。昨年10月にニューシティ・レジデンス投資法人がJリート初の破綻となり、市場が暴落しました。それ以降、今年に入ってからも東証REIT指数が低いままでしたが、政府の経済対策やJリートの破綻を防止するセーフティネットができたことなどによって、夏場にかけて市場がやや回復しました。リート同士の合併が発表されたり、1年以上途絶えていた公募増資が再開されるなど、市場再編に向けた明るい材料もでてきたため、回復の動きが鮮明になると期待されましたが、オフィスビル賃料の下落や不動産価格の下落懸念によって、再び東証REIT指数が低迷しています。

いい材料やメッセージがあっても浮上しないJリート市場はかなり深刻だと言わざるを得ません。当面、見通しを立てられない市場です。
 
収益不動産の取引動向
入札などによって市場で取引される収益物件の量が少ないことが、リーマンショック以降の不動産不況の特徴です。不動産価格の下落よって取引が大きく停滞し、予定していた物件売却が進まないことから、物件を当初取得するために借り入れたローンの返済が滞り、デフォルト(債務不履行)を起こしているケースが増えています。

本来は、ローンを融資している銀行などの債権者が物件の担保権を行使して、市場で物件を売却するのですが、売るタイミングを測りながら待っているのが現状です。不動産取引が活性化するための最大の条件は、売り物件が大量に出てくることです。買い手はたくさんいます。
 
2010年の不動産業界
民主党連立政権の経済政策が見えてこないため、景気全般の先行き不透明感が増しています。不動産業界はまさに正念場です。回復の兆しと材料は明らかに見えているのに、切っ掛けをはっきりつかめなかったのが今年後半の状況です。したがって、来年は回復の流れをしっかり呼び込んで、攻めに転じるというメッセージをより鮮明にしていくことが必要です。2009年が底だったと確認できるような1年になると期待しています。

〜楽待より〜
当コラム「誰にでもわかる不動産市況」は今回で終了となりますが、
来年から新連載コラム
「日刊不動産経済通信 田村編集長の最新不動産市況」がスタートします。
どうぞ引き続きご愛読ください!

バックナンバー
第1回 なぜ、不動産は不況に陥ったか?
第2回 首都圏を中心としたマンション市況の現状
第3回 マンションブームの背景
第4回 マンションの商品性 その進化と変遷
第5回 マンション市況と今後の見通し
第6回 新築マンションの減少が及ぼす影響
第7回 社会構造と経済環境の変化に伴う今後の分譲マンション市場
第8回 これからの住宅政策のあり方とは?
第9回 マンション市況の最新動向と回復の見通し
第10回 この1年をふり返って、そして来年の展望

>>楽待コラム第二弾「日刊不動産経済通信 田村編集長の最新不動産市況」はこちら

田村 修 田村 修(たむら おさむ)
■プロフィール
出版社勤務などを経て、1985年4月に株式会社不動産経済研究所に入社。
不動産業界唯一の日刊紙である『日刊不動産経済通信』の記者として、不動産関連業界を取材。大手ハウスメーカーやゼネコン、総合不動産会社、不動産流通会社、マンションデベロッパー、Jリート、国土交通省などを担当。
2008年2月から『日刊不動産経済通信』編集長。
株式会社不動産経済研究所のホームページはこちら

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