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不動産投資の楽待

日刊不動産経済通信 田村編集長の最新不動産市況

田村 修 田村 修(たむら おさむ)
株式会社不動産経済研究所、日刊不動産経済通信編集長の田村氏が、不動産経済研究所の調査結果などを織り交ぜながら、主に首都圏の分譲マンション市場を中心とした不動産市況を解説していきます。
第2回 分譲マンション市場は回復するのか?
公開日 2010/2/5
首都圏で昨年1年間に発売された新築の分譲マンションは3万6376戸です(不動産経済研究所調べ)。前の年に比べて16.8%減と大きく減少しました。年間の発売戸数が4万戸を割ったのは1992年の2万6248戸以来、17年振りになります。94年から07年までの14年間の年間平均発売戸数が約8万戸ありましたから、市場規模がこの2年で半分以下に縮小したことになります。

昨年は不動産業全体にとって、かつてないほど厳しい1年でした。分譲マンション市場の大幅な落込みがそのことを象徴しています。今年は分譲マンション市場が回復するのでしょうか。直近の動向をもとに、今年の見通しを展望します。
 
東京都区部のマンション供給は増加、郊外部は大幅ダウン
首都圏の分譲マンションの発売戸数が昨年大きく減少したのは郊外部の供給が大幅に落ち込んだためです。郊外での分譲マンション事業を主業務としている中堅・中小の不動産会社が倒産したり、経営状況が悪化して新規の事業資金を調達できなくなったため、事業そのものが立ち行かなくなりました。

景気の悪化などによってマンション市況の低迷が顕著になったのは前年の2008年からです。昨年の前半はそれを引きずり、売れ残った在庫処分に各社が追われ、新しいプロジェクトになかなか着手できない状況でした。しかし、販売価格を下げることによって売行き自体は比較的好調に推移したため、後半以降になると、ようやく新規物件を発売する動きがでてくるようになりました。郊外でも新しい物件がいくつか供給されましたが、かつてのような勢いはありません。

不動産経済研究所の調査では、東京都区部で昨年1年間に発売された分譲マンションは1万6378戸で、前年より5.0%増加しました。財務体質が強い大手のデベロッパーなどが購買力の高い消費者を狙って都心に近いエリアでの販売に力を入れたためです。都区部は増加しましたが、その他のエリアをみると、前年同月比で東京都下が24.0%減、神奈川県が34.9%減、埼玉県が14.6%減、千葉県が34.2%減と、軒並み大きく減少しています。郊外部の供給動向が今後の市況を占う鍵を握っています。
 
在庫処分に目途、新規供給に取り組む環境が整う
不動産経済研究所の調査によると、昨年12月の首都圏の分譲マンション発売戸数は5247戸でした。前月に比べると43.8%増と大幅に増えましたが、前年同月と比較すると21.6%減と依然低い水準です。供給面ではまだまだ回復の兆しが見えません。ただ、販売状況は悪くありません。売行きを示す契約率は68.6%で、好調ラインの70%をわずかに下回っていますが、前年同月より6.7ポイント改善し、安定した売行きを維持しています。

12月末時点の販売在庫数は7389戸で、前月末より564戸増えましたが、前年同月末の1万2427戸と比べると5000戸強減少しており、昨年はマンションの販売在庫を捌くことに力を注いだ1年だったことがわかります。在庫の処分に目途がついたことから、今年の新規マンション供給はかつての大量供給ブームには遠く及ばないものの、昨年を上回ることは間違いないというのが大半の見通しです。
 
今年の首都圏マンションは前年比18%増加
不動産経済研究所は今年の首都圏の分譲マンション供給戸数が前年比18.2%増の4万3000戸になると予測しています。前年と比べて2割近く増加すると予想しているのは、市況の悪化で建物の着工を延ばしたり、建築工事を中断したり、販売時期を先送りしていた物件が今年から発売されるようになるほか、昨年に比べて新しいプロジェクトが増えるからです。

金融の引き締めが厳しかった中小デベロッパーに対しても、財務状況が改善していれば事業資金を多少融資するようになり、用地仕入れを再開する会社も一部にはでてきました。新規発売に向けた材料と条件は前年を確実に上回っています。

今年の供給予測をエリア別にみると、東京都区部は前年比25.1%増の2万500戸と大幅に増える見通しです。最も増加すると見込んでいるのが神奈川県で前年比3割増の1万戸を予測しています。東京都区部は臨海部を中心とした大規模な超高層物件が多く供給されるほか、神奈川県では人気の高い横浜・川崎エリアで供給が活発になる見通しです。その他のエリアでは、都下が前年比5.7%増の3500戸、千葉県が9.1%増の4500戸と小幅ながら増加する見通しですが、埼玉県は7.3%減の4500戸と前年をさらに下回る見込みです。
 
中・小型の物件が主体、販売価格は低位安定
今年の首都圏分譲マンション市場の特徴として予測しているのは、まず先に挙げたように東京都区部と神奈川を中心に供給戸数が回復することです。
二つ目は販売期間が長期化する大型物件を避け、総戸数が100戸程度以下の中・小型物件が主体になることです。

三つ目の特徴は、原材料である用地費と建築コストが下がったことを反映した低価格物件が今年の後半以降発売されることです。地価は08年から下がり始めましたが、工事費が下がってきたのは昨年の半ば頃からです。双方が下がった物件が市場で本格的に供給されるタイミングが今年の秋口以降です。埼玉県や千葉県の郊外部で発売される予定で、市場の活性化につながるか否かの分水嶺になります。

価格動向については、昨年前半に話題となったアウトレット・マンションの供給はほとんどないため、極端な値下げ物件はでてこないでしょう。消費者のニーズに合った販売価格の目線が昨年1年間の動きの中でほぼわかりましたので、一部の富裕層やアッパーミドル層を狙った都心の高額物件を除いて、比較的低位に安定すると思われます。
 
商品企画のポイントはエコ対応
マンション市況が変わり目を迎えるときは必ず、新しいプレイヤーがでてきます。今回は新興系のデベロッパーの市場参入は難しいため、それに代わってマンション適地を保有している異業種の大手企業が分譲マンション事業に参入してくる見通しです。自らリスクをとって開発ができなくなった販売力のある中堅・中小のデベロッパーと組んで事業化するケースがいくつかでてきます。そういう新しい供給スタイルも市場を刺激しそうです。

商品企画で注目されるのは環境対応です。政府による住宅版エコポイント制度の創設で、「エコ」を売り物にした商品企画に各社とも力を入れてくるのは間違いありません。太陽光パネルの設置や屋上緑化、省エネ設備機器の導入などというハード面に限らず、エコロジーな生活をサポートするためのソフト面の仕組みなども提供されるでしょう。販売促進効果を狙った各社の取組みが新しいマンションのあり方を生み出すかもしれません。

今年に入ってからのマンション販売現場は昨年より活況を呈しています。様子をみながら買い控えていた購入層が動きだしたこともあり、5000万円を超える物件の売行きが昨年と違って好調です。販売が好調であれば、供給は必ず動きます。景気は最悪期を脱したと言われていますから、順調に推移すれば、今年のマンションの新規供給戸数は大方の予想以上に増える可能性があります。

バックナンバー
第1回 首都圏分譲マンション市場を概観する
第2回 分譲マンション市場は回復するのか?
第3回 高額所得層にマンションの買い時感広がる
第4回 長期優良住宅のマンションが徐々に浸透
第5回 春の商戦に向け好調なマンション市場
第6回 マンション市場を回復させた供給側の姿勢
第7回 郊外でのマンション供給が増えると市場がより安定
第8回 マンション商品企画のトレンド
第9回 今年の首都圏マンション市場を展望する
第10回 マンションデベロッパーの実情
第11回 震災後の分譲マンション市場
第12回 分譲マンション市場は様子見から正常化へ
第13回 震災の影響で今年前半の分譲マンション市場は低迷

>>楽待コラム第一弾「誰にでもわかる不動産市況」はこちら

田村 修 田村 修(たむら おさむ)
■プロフィール
出版社勤務などを経て、1985年4月に株式会社不動産経済研究所に入社。
不動産業界唯一の日刊紙である『日刊不動産経済通信』の記者として、不動産関連業界を取材。大手ハウスメーカーやゼネコン、総合不動産会社、不動産流通会社、マンションデベロッパー、Jリート、国土交通省などを担当。
2008年2月から『日刊不動産経済通信』編集長。
株式会社不動産経済研究所のホームページはこちら

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