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不動産投資の楽待

日刊不動産経済通信 田村編集長の最新不動産市況

田村 修 田村 修(たむら おさむ)
株式会社不動産経済研究所、日刊不動産経済通信編集長の田村氏が、不動産経済研究所の調査結果などを織り交ぜながら、主に首都圏の分譲マンション市場を中心とした不動産市況を解説していきます。
第4回 長期優良住宅のマンションが徐々に浸透
公開日 2010/4/5
春の歩調に合わせるかのように、分譲マンション市況の回復の足取りが力強くなってきました。前回のコラムで紹介した大手デベロッパーが東京都内で開発している大規模マンションは、第1期325戸の抽選販売に500件を超える申込みがあり、即日完売しました。1回の販売戸数が300戸を超えたのは久しぶりですし、それがすべて売れたのですから、需要は着実に戻っています。

ほかにも売れ行きが好調な優良物件がいくつか出てきています。その中には、長期優良住宅の認定を受けたマンションがあります。今回のコラムでは、長期優良住宅認定マンションに注目し、消費者のニーズを探りながら、今後の市況を占っていきます。
 
住宅を欧米並みに長持ちさせる制度
昨年6月に「長期優良住宅普及促進法」という法律が施行されました。一般の住宅より構造躯体が長持ちし、耐震性や省エネ性などに優れ、間取りの変更が可能であるなどの要件を満たした住宅を長期優良住宅として認定し、普及させていこうという制度です。長期優良住宅は「200年住宅」とも言われています。日本の住宅は欧米に比べて耐用年数が短く、平均すると20〜30年で建て替えられてきました。建て替えのサイクルを100年あるいは200年と長期化し、長く住み続けられる住宅をつくることで優良な社会的なインフラとして流通させていこうというのがこの法律の狙いです。

これまでの一般的な住宅の基準より性能が良くなるため、建築コストは高くなります。とくにマンションでは約2割アップすると言われています。戸建住宅の場合は中小の工務店にとってはコストアップの問題が生じますが、大手ハウスメーカーの注文建築商品であれば現行の標準仕様で長期優良住宅の認定基準をほぼクリアできるため、コストを吸収できます。したがってこの制度は戸建住宅に浸透しているのが現状です。国土交通省がまとめた今年2月時点の長期優良住宅の累計認定数は戸建住宅が5万戸近いのに対してマンションなどの共同住宅は500戸強にとどまっています。

マンションに長期優良住宅制度が普及していない理由は、まず価格が高くなることへの抵抗が供給者側に強くあることです。制度が始まった昨年6月はマンション市況が低迷し、販売価格の値下げや買取り再販によるアウトレットマンションが多かった時期です。そんなときに、いくら品質が良くても周辺相場より2割も高い物件を供給するのは現実的ではありませんでした。加えて、昨年の前半までは建築費が高かったことも普及を妨げました。もう一つの理由は、長期優良住宅の認定基準をすべて満たしていなくても十分高品質なマンションが多かったため、デベロッパーは敢えてコストアップを受け入れてまで屋上屋を架す必要はないと思っていたからです。
 
地球温暖化問題で長期優良住宅マンションが注目
ところが、こうした状況を大きく変えたのが地球温暖化問題です。産業界にとってCO2の削減問題は待ったなしになりました。一般消費者にもエコロジーなライフスタイルを普段から追及していこうという風潮が急速に広まっています。従来の建てては壊すという短いサイクルを繰り返す日本の住宅のあり方を見直す長期優良住宅制度はエコ志向に合致しました。一般住宅と比べて住宅ローン減税をはじめとする減税額が大きいほか、ローン金利の優遇措置があるなど、購入側にとってはメリットがあるため、戸建住宅ではすでに浸透しています。

分譲マンションとして初めて長期優良住宅に認定された物件がさいたま市浦和区で開発中です。建築コストが高く、専有面積が80〜131m²と広いため、中心価格帯は6000万円台半ばと一般的な給与所得者にとっては高額ですが、2月に発売された第1期1次30戸は即日完売しました。30歳代前半と比較的若い購入者も多く、住宅取得ための生前贈与の非課税枠の拡充という制度のバックアップもあり、自己資金が1000万円以上の割合が高かったようです。
 
土地代と建築費の下落が長期優良住宅マンションの追い風に
このマンションを開発した事業者は、長期優良住宅という性能の優位性を来場者にアピールできたと話しています。このほかにも長期優良住宅に認定されたマンションがいくつかでてきており、今後は消費者のエコ志向の高まりに合わせて、マンションにもこの制度が徐々に浸透してくるものと思われます。土地代と建築費が以前より下がりましたから、供給者側にとっては長期優良住宅マンションを開発しやすい環境になりました。住宅版エコポイント制度も活用できるため、今後のマンション供給は長期優良住宅の認定が差別化の一つになることは間違いなさそうです。

不動産経済研究所がまとめた2月の首都圏マンション市場動向によると、新規発売戸数が前年同月比10.7%増の2777戸と大幅に増加しました。前年水準を上回るのは3カ月ぶりです。ようやく供給ベースで明るさが見えてきました。エリア別にみると、供給戸数が最も多かった東京都区部は前年同月比9.7%増の1324戸で、1割近い増加です。都下は前年同月が少なかったため、約2.7倍増の250戸と大きく伸びました。埼玉県も66.2%増の442戸と大幅な増加ですが、神奈川県が11.5%減の615戸、千葉県が41.8%減の146戸とともに大幅に減少しています。都区部の供給は安定的に増加していますが、郊外部はまだバラツキがあります。
 
マンション市況は着実に回復傾向
売れ行きを表す契約率は70.7%で、2か月連続で好調ラインの7割を維持しました。前年同月に比べると9.0ポイントの上昇です。ただし、供給と同様、エリアによってバラツキがあります。供給が多かった都区部は67.6%と7割を切りました。供給が大幅に増えた都下は70%で、埼玉は83.3%と好調でしたが、神奈川が69.8%、千葉が66.4%と7割に届きませんでした。とは言え、悪くても60%代後半をキープしていますから、売れ行きは安定的に良くなってきています。

平均価格は4772万円で前年同月比1.1%のダウン、坪当たりの平均単価は224万円で3.8%アップしました。総額はやや抑えられ、単価は上昇するという傾向が続いています。都区部は平均価格が4.2%アップの5480万円、坪単価は15.4%と二ケタアップの282万円となり、ともに上昇。都下も総額、単価とも1割近く上昇しました。埼玉はともに二ケタのアップとなり、逆に神奈川はともに二ケタの大幅ダウンとなりました。千葉はともに1割前後の下落で、エリアによる違いが顕著になっています。

最近のマンション市場の特徴は、冒頭で紹介した大型物件の好調な販売状況が示すように、即日完売物件が増えたことです。市況は確実に上向いています。政策効果も当然ありますが、これまで貯まっていた需要層が雪解け水のように流れ出しています。

バックナンバー
第1回 首都圏分譲マンション市場を概観する
第2回 分譲マンション市場は回復するのか?
第3回 高額所得層にマンションの買い時感広がる
第4回 長期優良住宅のマンションが徐々に浸透
第5回 春の商戦に向け好調なマンション市場
第6回 マンション市場を回復させた供給側の姿勢
第7回 郊外でのマンション供給が増えると市場がより安定
第8回 マンション商品企画のトレンド
第9回 今年の首都圏マンション市場を展望する
第10回 マンションデベロッパーの実情
第11回 震災後の分譲マンション市場
第12回 分譲マンション市場は様子見から正常化へ
第13回 震災の影響で今年前半の分譲マンション市場は低迷

>>楽待コラム第一弾「誰にでもわかる不動産市況」はこちら

田村 修 田村 修(たむら おさむ)
■プロフィール
出版社勤務などを経て、1985年4月に株式会社不動産経済研究所に入社。
不動産業界唯一の日刊紙である『日刊不動産経済通信』の記者として、不動産関連業界を取材。大手ハウスメーカーやゼネコン、総合不動産会社、不動産流通会社、マンションデベロッパー、Jリート、国土交通省などを担当。
2008年2月から『日刊不動産経済通信』編集長。
株式会社不動産経済研究所のホームページはこちら

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