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不動産投資の楽待

日刊不動産経済通信 田村編集長の最新不動産市況

田村 修 田村 修(たむら おさむ)
株式会社不動産経済研究所、日刊不動産経済通信編集長の田村氏が、不動産経済研究所の調査結果などを織り交ぜながら、主に首都圏の分譲マンション市場を中心とした不動産市況を解説していきます。
第5回 春の商戦に向け好調なマンション市場
公開日 2010/5/6
ゴールデンウィークに合わせて分譲マンション市場の春の商戦が始まりました。需要の喚起に向け、デベロッパー各社による今年の目玉物件の販売がこの時期に集中します。注目されるのは、総戸数の多い新規の大規模マンションです。昨年までは市況が今一つ良くなかったことと、販売在庫を抱えているという事業者側の事情などによって、継続物件の販売が中心で、大規模物件の新規供給は抑えられていました。

今年はすでに新規の大規模物件が続々と販売され、好調な売れ行きを示しています。これまで新規のマンション開発ができなかった中堅・中小のデベロッパーにも、用地取得をはじめ、事業再開の動きが起きており、マンション市場全体に明るさが出てきました。そうした中での春の商戦は今後のマンション市場にとって大変重要な意味を持っています。
 
3月の新規発売は大幅に増加、契約率も8割強
不動産経済研究所の調査によると、3月の首都圏の新規マンション発売戸数は3685戸で、前年同月に比べて54.2%増加しました。前年同月を上回ったのは2カ月連続となりますが、5割以上増加するのは久々です。大型物件の新規供給が増えたことと、1回で売り出す販売戸数が100戸を超えるケースがでてきたためです。

供給戸数が大幅に増えたにもかかわらず、売れ行きを示す契約率は82.8%で、好調ラインである70%を大幅に上回りました。春の商戦に向けマンション市場は回復してきています。中心となる価格帯が5000万円台や6000万円台という比較的高額な物件が即日完売するなど、アッパーミドル層の需要が堅調なことから、3月の平均価格は前年同月比6.8%アップの5070万円となり、1年4カ月ぶりに5000万円台に乗りました。平均坪当たり単価は234万円で、前年同月より9.1%と1割近く上昇しました。

首都圏のエリア別の供給動向をみると、全体のシェアが47%を占めて最も供給が多かった東京都区部は前年同月比55.9%増の1759戸と堅調に伸びました。東京都下は2.3倍増の551戸、神奈川県は2.5倍増の829戸と、この両エリアは前年が少なかった反動で大幅に増加しています。埼玉県も43.2%増の418戸と順調に増えましたが、千葉県は69.2%減の128戸と大きく減少しました。契約率はどのエリアも70%を超えていて好調ですが、バラツキが見られます。都区部と埼玉県がともに80%台、都下は94.6%と高い水準でしたが、神奈川県と千葉県は70%台にとどまりました。
 
都区部の販売が依然好調、価格が上昇傾向
平均価格は都区部が6162万円で、前年同月比5.4%上昇しました。平均坪単価は9.6%アップして300万円になりました。供給が大幅に増えた都下の平均価格は13.4%下落の4210万円、平均坪単価は21.1%ダウンの177万円で、ともに大きく下落しました。都下と同様に供給が大きく伸びた神奈川は平均価格が10.7%上昇の4164万円、平均坪単価が12.2%上昇の188万円で、都下とは対照的にいずれも大幅にアップしました。埼玉もそれぞれ14.8%上昇の4002万円、8.6%上昇の170万円とアップ、千葉は平均価格が6.4%下落の3135万円とダウンしましたが、平均坪単価が15.0%上昇の159万円と二ケタのアップです。

供給の中心エリアである都区部では、売れ行きが好調であることに加えて販売価格が上昇傾向にあります。とくに平均坪単価が約1割アップしていることから、今後の価格動向が気になります。販売価格が底を打って上昇基調に転じると、駆け込み的な需要が一時的に発生しますが、消費者の手が届きにくい価格にまで上昇してしまうと、また消費者離れが起きて、市況が急激に冷え込んでしまう恐れがあります。販売サイドとしては、いくら売れ行きが好調でも一本調子で価格を上げることができないのが現在のマーケットです。

首都圏で3月に即日完売したマンションは29物件、896戸ありました。戸数ベースでみた即日完売の割合は24.3%で、約4分の1が即日完売したことになります。販売戸数が100戸前後の物件や約400戸を売り出して即日完売した物件などがあり、大型の供給を吸収できるまで需要が回復してきました。
 
環境への配慮が商品企画の主流に
5月以降は総戸数が800戸を超える新規の大規模マンションが複数物件販売される予定です。これまでの大規模マンションはスケールメリットを活かして共用施設を充実させた商品企画を売り物にするケースが多かったのですが、最近は豪華な共用施設をたくさんつくるより、全体の建築プランをシンプルにして建築コストを抑える傾向もでてきました。各デベロッパーが力を注いでいるのは環境への配慮です。太陽光発電システムの導入やLED照明の採用、家庭内消費エネルギーの「見える化」、電気自動車によるカーシェアリングシステムの導入など、環境対応への取り組みが商品企画の主流になってきました。

ある大手マンション専業デベロッパーが茅ヶ崎市で開発している総戸数800戸超のマンションでは、販売価格を下げるため、地下の施設をつくらずに全体の施工床面積を減らし、住戸プランは総戸数全体の約7割の住戸を専有面積65m²と70m²の3LDKタイプに揃えることで、建築コストを抑えています。一方で、地元の企業と提携し、共用施設であるカフェラウンジで湘南ビールなどの商品を提供したり、フラダンスやハワイアンキルトなどのカルチャー教室の開催によるコミュニティ活動の支援や、朝市の定期的な開催など、地域交流を図るというサービスを提供する計画です。
 
中堅・中小のデベロッパーが事業再開
需要が戻り、市況に回復傾向が出てきたことに加えて、最近の分譲マンション市場で特徴的なことは、これまで新規プロジェクトの開発から遠ざかっていた中堅、中小のデベロッパーが相次いでマンション用地の仕入れを再開し始めたことです。金融環境が改善してきたことと、マンションの売れ行きが良くなってきたことで、ようやく事業機会が拡大する兆しが見えてきました。資本力のある大手デベロッパーだけではなく、小回りが利き、独特の発想でマンション事業に新しい風を吹き込む中小企業が登場しないと、市場全体が活気づきません。

新規マンションを供給するプレーヤーが増えることで、物件の供給量が増え、単独では難しい大型物件を共同で手掛けるための事業パートナーを選びやすくもなります。とくに、まだ供給が少ない郊外部での事業機会を増やしていくことが、ボリュームの裾野が広い若い一次取得層を市場に呼び込むことにつながります。首都圏に関する限り、マンション市況が回復したと言える状況に大分近づいてきたことは間違いありません。

バックナンバー
第1回 首都圏分譲マンション市場を概観する
第2回 分譲マンション市場は回復するのか?
第3回 高額所得層にマンションの買い時感広がる
第4回 長期優良住宅のマンションが徐々に浸透
第5回 春の商戦に向け好調なマンション市場
第6回 マンション市場を回復させた供給側の姿勢
第7回 郊外でのマンション供給が増えると市場がより安定
第8回 マンション商品企画のトレンド
第9回 今年の首都圏マンション市場を展望する
第10回 マンションデベロッパーの実情
第11回 震災後の分譲マンション市場
第12回 分譲マンション市場は様子見から正常化へ
第13回 震災の影響で今年前半の分譲マンション市場は低迷

>>楽待コラム第一弾「誰にでもわかる不動産市況」はこちら

田村 修 田村 修(たむら おさむ)
■プロフィール
出版社勤務などを経て、1985年4月に株式会社不動産経済研究所に入社。
不動産業界唯一の日刊紙である『日刊不動産経済通信』の記者として、不動産関連業界を取材。大手ハウスメーカーやゼネコン、総合不動産会社、不動産流通会社、マンションデベロッパー、Jリート、国土交通省などを担当。
2008年2月から『日刊不動産経済通信』編集長。
株式会社不動産経済研究所のホームページはこちら

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