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日刊不動産経済通信 田村編集長の最新不動産市況

田村 修 田村 修(たむら おさむ)
株式会社不動産経済研究所、日刊不動産経済通信編集長の田村氏が、不動産経済研究所の調査結果などを織り交ぜながら、主に首都圏の分譲マンション市場を中心とした不動産市況を解説していきます。
第6回 マンション市場を回復させた供給側の姿勢
公開日 2010/6/4
分譲マンション市場の回復の足取りがしっかりしてきました。注目された大型連休の各販売現場への来場者数は、前年の実績を上回り、好調な市況を裏付けました。

ある大手のマンション販売会社が販売業務を受託した新築分譲マンションを対象にまとめた今年4月29日から5月5日までのモデルルームへの来場者数は前年より約4割増加しました。2年連続の増加となり、市況が悪化する直前の07年とほぼ同じ水準に戻ったと分析しています。

供給側に勢いがでてきたことが、もともとあったマンション購入の潜在需要を後押ししたと言えます。最近では東京都心の「億ション」と呼ばれる1億円を超える高額マンションへの需要も増えてきました。今回のコラムでは、マンション市場が回復してきた背景と最近の新しい動きを探ります。
 
高額物件や億ションの需要も堅調に
人気エリアの一つ、東京・世田谷区の二子玉川地区で総戸数が1000戸を超える大型分譲マンションがこのほど竣工しました。これまでに約800戸を販売し、そのうちの約9割が契約済みです。平均価格帯が約8500万円で、マンション全体の約2割が1億円を超える高額物件ですが、売れ行きは好調だと言えるでしょう。

08年秋に販売活動を開始してから累計で約2万6000件の反響があり、これまでに販売した1億円台の住戸も8割以上が契約済みであるということですから、人気エリアとは言え、1年前と比べると需要はかなり高まっています。

東京港区の麻布十番エリアで大手マンションデベロッパー3社が共同で開発した超高層マンションもほぼ同じ時期に竣工しました。このマンションは複数の地元地権者による再開発物件です。一般向けの分譲戸数は360戸、最多価格帯は7900万円で、全体の4割弱が1億円以上の高額マンションです。これまでに約8割の住戸を販売し、30代から40代の比較的若い共働き夫婦を中心に、8割近くまで契約に至っています。こちらも好調な売れ行きをみせた事例です。

大手デベロッパーや商社など4社が港区六本木で共同開発している超高層マンションは、この夏から販売を開始する一般向け分譲戸数345戸のうち、半分以上が億ションになる予定です。事前に行った会員募集には2カ月間で1500件を超える反響があり、関心が高いことを伺わせています。

3000万円前後から4000万円台のマンションの売れ行きは昨年から回復していましたが、5000万円を超える物件、とくに7000万〜8000万円台の高額物件は売れ行きが鈍いままでした。しかし、ここにきて億ションを含めた高額マンションの販売状況が良くなってきました。マンション市場に厚みが戻ってきたと言えます。
 
購入意欲の高い顧客が増加
今年のゴールデンウィーク中にマンションのモデルルームに来場した顧客の動向を各販売会社に聞いてみると、「目的を持って物件を探していて、具体的に購入を検討している人がほとんど」という答えが多く返ってきます。顧客の数が増えただけではなく、購入意欲の高い顧客が多くなってきていることがわかります。連休中に契約に至ったケースでは、「一次取得者向けの低価格物件から高額物件まで幅広く、満遍なくニーズがあった」とあるデベロッパーは話しています。

マンション市場が好調になってきた背景には、価格が下がって買いやすくなったことに加えて、減税や低金利などの政策支援がありますが、供給側の事情が良くなったことを忘れてはいけません。分譲マンション市場を牽引するのは物件を供給するデベロッパーの意欲と姿勢です。顧客にとってマンションを買いやすい環境が整うことは、供給サイドであるデベロッパーの姿勢を強気に導きます。住宅に対するニーズは常にあります。それはまだまだ優良な住宅が十分に行きわたっていないからです。
 
供給意欲の復活が需要を再び喚起
今回起きているマンション市場の回復過程を一言にまとめると、供給意欲の復活がもたらした需要喚起です。07年の価格高騰による市況の悪化と08年9月のリーマンショック後に起きたデベロッパーの経営破綻によって、新規物件の供給意欲が一気に減退しました。マンションの供給サイドはこの約1年半、価格調整と在庫整理、企業存続のための財務リストラに明け暮れました。消費者に目を向ける余裕がほとんどなかったと言っていいでしょう。その結果が昨年までの不動産不況であり、マンション不況でした。

倒産によってマンションを供給するプレーヤーが減少し、在庫が処分されたことと新規供給の激減で物件の品薄感が広がったことが、結果的にマンション市場の回復につながりました。現在、マンションを新たに開発し、新規物件を販売しているプレーヤーは、淘汰に耐えた生存者利益を享受しているのです。住宅への底堅いニーズにしっかり対応できる体制を備えた企業は今後の市場回復の波に乗れるでしょう。
 
首都圏のマンション供給は3カ月連続で増加
不動産経済研究所がまとめた首都圏マンション市場動向によると、4月の新規発売戸数は3214戸で、前年同月比22.6%増と大幅に増加しました。3カ月連続で前年を上回り、供給面での回復基調は明確になってきました。4月は年度末と5月の大型連休の狭間であるため、供給戸数は例年増えないのですが、前年より2割以上多かったことは注目できます。

売れ行きを示す契約率は79.9%とほぼ8割をキープしました。今年に入ってから4か月連続で好調ラインの70%を超えています。前月と同様に大型の新規物件が増え、1回当たりの販売戸数が100〜200戸という物件がでてきたことが供給戸数の増加につながっていて、供給を増やすことが需要を喚起するという好循環をつくっています。

新規発売戸数をエリア別にみると、首都圏全体の4割以上を占め最も供給が多い東京都区部が前年同月比18.0%増の1380戸と二ケタの増加です。次に多かったのが全体の約2割を占めた千葉県で前年同月の約2.8倍増となる654戸でした。このほか、埼玉県が前年同月比5.5%増の345戸と増えましたが、東京都下が10.6%減の278戸、神奈川県が4.6%減の557戸とともに減少しました。
 
マンション価格は上昇傾向に
首都圏の平均価格は4616万円で、前年同月比16.8%の大幅な上昇です。平均坪当たり単価は3.3%アップの205万円です。前月に比べると平均価格、坪単価ともダウンしていますが、前年に比べると価格は上昇傾向にあるようです。とくに東京都区部は平均価格が23.7%上昇の5189万円、坪単価が0.9%上昇の254万円で、単価はほぼ横ばいでしたが、平均価格は大幅にアップしました。

東京都下も平均価格が24.7%上昇の4682万円と大きくアップ、単価も26.4%上昇の203万円となっています。供給が大きく増えた千葉県は平均価格が14.5%上昇の4246万円、単価が6.0%上昇の163万円、神奈川県はそれぞれ9.0%上昇の4427万円、3.6%上昇の189万円、埼玉県は0.7%上昇の3279万円、4.6%ダウンの149万円でした。前年に比べて平均価格は全エリアで上昇し、平均坪単価も埼玉県以外のすべてのエリアで上昇しています。

4月末の販売在庫は前月末より286戸減少して5736戸となり、6000戸を割り込みました。在庫が少なくなったことで、市場の品薄感はしばらく続きそうです。

バックナンバー
第1回 首都圏分譲マンション市場を概観する
第2回 分譲マンション市場は回復するのか?
第3回 高額所得層にマンションの買い時感広がる
第4回 長期優良住宅のマンションが徐々に浸透
第5回 春の商戦に向け好調なマンション市場
第6回 マンション市場を回復させた供給側の姿勢
第7回 郊外でのマンション供給が増えると市場がより安定
第8回 マンション商品企画のトレンド
第9回 今年の首都圏マンション市場を展望する
第10回 マンションデベロッパーの実情
第11回 震災後の分譲マンション市場
第12回 分譲マンション市場は様子見から正常化へ
第13回 震災の影響で今年前半の分譲マンション市場は低迷

>>楽待コラム第一弾「誰にでもわかる不動産市況」はこちら

田村 修 田村 修(たむら おさむ)
■プロフィール
出版社勤務などを経て、1985年4月に株式会社不動産経済研究所に入社。
不動産業界唯一の日刊紙である『日刊不動産経済通信』の記者として、不動産関連業界を取材。大手ハウスメーカーやゼネコン、総合不動産会社、不動産流通会社、マンションデベロッパー、Jリート、国土交通省などを担当。
2008年2月から『日刊不動産経済通信』編集長。
株式会社不動産経済研究所のホームページはこちら

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